お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/11/16
- メディア: 新書
- 購入: 28人 クリック: 510回
- この商品を含むブログ (523件) を見る
「最も参考になったカスタマーレビュー」がひどい
アマゾン・カスタマーレビューに驚いてしまいました。
「お金は銀行に預けるな」は評価の高いレビューがたくさんあります。
最高の★★★★★が一番多くて208人のうち69人。次の★★★★が61人。
最低の★をつけた人の数は少ししかいませんね。
しかし、レビューを見た人が投票した結果の「最も参考になったカスタマーレビュー」は「犯罪的書物だ」、「焚書ものだ」と酷評したレビューに人気が集まっています。
これらが、最も参考になったレビューとして最上位に表示されてしまっているのです。罵倒したレビューに大量の「このレビューが参考になった」と投票したからです。
アンチ勝間さんの人たちが投票したのでしょうか。
投資に対する考え方が変った素晴らしい本
いくら話し合っても考え方が人と合わないとき、絶望を感じることがあります。
しかし、自分の無知が原因で誤解をしていた場合、その誤解がとけるのは感動的なものがあります。目から鱗が落ちるというやつです。(「我ら糖尿人、元気なのには理由(ワケ)がある」を読んだときも目から鱗が落ちました)
私は「株はギャンブルだ。素人が手を簡単に出すべきではない」と考えていました。
ところが、勝間さんは、「資本主義の根幹は金融。賢くない人から賢い人へお金が流れるように出来ている。だから、金融リテラシーを高めないと働いてもお金は資本家へ流れてしまう」と言うのです。そして、読者に投資を呼びかけ、その手法を紹介しています。
卵をひとつの籠にもらない
★ひとつの評価をして大量の投票を得ているレビューがあります。
そのレビューは、2008年の「暗黒の一週間」で株価は大暴落した、勝間さんの勧めで投資した人は酷い損害を受けたではないかと言います。
しかし、勝間さんが紹介しているのは、投資先を国内と国外、債券と株式を4等分にして、毎月定額のインデックスファンドを長期間積み立てると言うもの。暴落していれば安いときにかなりお得に買え、相場の回復した今ならかなりプラスになっているはず。(インデックス投信の強さ)
この本を読んで、卵をひとつの籠にもらないでリスクを分散する。そして、長期に毎月積み立てて価格変動を吸収する。そうすれば、経済成長のメリットを受けられるはず、と思うようになりました。たぶん、これは間違いありません。世界の人口が増加している限り、世界の人が豊かな生活を望んでいる限り、経済は成長をし続けるはずです。だから、私を無知の呪縛から解いてくれた素晴らしい本なのです。
社会の格差問題についての考察
金融リテラシーをあげてお金を儲けようと言う本なのに最終章は社会格差の話題です。所得税の累進は1974年まで74%だっのが1987には60%になり、現在は40%までだそうです。高度な累進、地方格差を是正する均衡なる発展政策が出来たのは高度な経済成長があったからだと言います。今、同じ政策をとるとマイナス成長になりかねない。そこでどうするか、と言う話になります。
投資先をエコや人権に配慮するファンドを選べば社会を変えることも出来る、と言います。どういった会社に、どういった国に金融を行うかを決めることで社会を変えていくことが出来ると勝間さんは言います。
投資信託では鎌倉投信の「結い2101」。ここには投資している「いい会社」を紹介しているページがあります。
私は弱肉強食の世界で社会格差を少なくするのには、映画のようなもので理解しあうしかないと考えてきました。こういう投信に投資するのも社会を変える一歩なのかも知れません。
【参考】
「21世紀の資本」の翻訳者・山形浩生さんも「ベストセラー『21世紀の資本』 の翻訳者・山形浩生が、原書を読んで真っ先に思ったこと | 日刊SPA!」で、「投資信託やファンドなどの資産を持っていれば年4%程度の収益を得られるが、働いて得られる収入の伸びは1.5%ほどに抑えられ、この状態が続くことでとてつもない格差も生まれるということだ」と言っています。