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責任者と話がしたい
7月13日、「アルフレッド・ハウゼ タンゴ・オーケストラ」の演奏を聞くために、義母のお伴で千葉市民会館に行ってきました。
義母はアルフレッド・ハウゼのタンゴが大好き。戦後まもない頃、妻の父と母は社交ダンスを通じて知り合いました。ダンスホールを流していたんだそうです。2年前、オーチャードホールでコンサートがあったときも、お伴しましたし、浦和でもコンサートに行ったことがあるそうです。
13:00開場、13:30開演。義母がせっかちなこともあって、12:40分くらいに千葉市民会館に到着。人がどんどん増えていきます。
集まってくるのは80歳は過ぎていると思われる高齢者ばかりです。ロビーは半分に仕切られていて、奥の方には進めず、仕切られた入り口付近に30人、50人と高齢者が増えていきます。
そしたら、歳の頃なら70くらいの男性が、スタスタと入り口に近づいて、はっきりした口調でいいます。
「責任者と話がしたい! 仕切られた奥にはソファーがかなりあるが、こちらにはひとつもない。開場してくれとは言わないが、高齢者がソファーに座れるようにして欲しい」
それを見ていた私はこう思いました。
「お前は何を言っているんだ。みんな、13:00開場なのは承知の上で早めに来ているんじゃないか。そこまで言わなくていいんじゃないか」。
しばらくして、「ホールには入れない」という条件で、ロビーの仕切られた奥の部分への入場が始まりました。
責任者と交渉した男性は自分がソファーに座りたかった訳でもなく、多くの観客に紛れてしまいました。
私と義母は、チケットを提示してロビーの奥に入り、ソファーに座ることできました。
気が付きませんでしたが、仕切られた奥にはかなりのソファーがあったのです。
私たちは決められたことに従いすぎていないか
ソファーに座っているのは立っているより楽です。80歳、90歳の高齢者だったらなおさらでしょう。そうなると現金なもので、「お前は何を言っているんだ」と思ったことを後悔しました。
あの状況では二つの選択肢があったのです。
- 13:00開場なのは承知の上で早めに来ているから座れないのは当然と我慢する
- 運営に不都合がないのなら、ソファーに座れるように交渉する
ソファーがあったのに気が付かないこともありましたが、「1」の考えしか出来ない私に比べ「2」の発想をした男性が素晴らくてカッコ良かった。その交渉に応じて早めに入場を開始した運営側もカッコ良かった。
わたしたちは小学校に入ったときから、決められたことに従うことを教え込まれています。そして、それに従う子どもがいい子という高い評価を受けがちです。
私たちは決められたことに従いすぎていないか。そんなことに気が付いたエピソードでした。
義母は「また来れたらいいね」と言った
アンコールはラデッキー行進曲のようなミリタリータンゴ。観客も手拍子で楽しく。ラ・クンパル・シータをもう一度やって、最後はブラームスの子守唄。これは、2年前のオーチャードホールのときと同じだった。あんまり出番のないパーカッションとか、ひとりひとりの動作が興味深く面白かった。
帰りのロビーではサインが欲しい人が並んでいました。入場前に「50年前に買ったLPレコードにサインを貰うんだ」と話し、オーディオ歴を自慢していた男性も行列の中にいたのでしょう。
義母は満足したようで、「楽しかった」と言い、でも、音響はオーチャードホールの方が良かったとも。
そして、「また来れたらいいね」と言った。