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「邦画はクソ!」というというあなたに
TOHOシネマズ 「午前10時の映画祭」で上映されている黒沢明監督の「七人の侍」を見ました。この映画は邦画の黄金時代の名作です。そのことから感想を書くのに邦画について調べようとGoogle検索窓に「邦画」と入力しました。すると、なんと「邦画はクソ」とか「邦画 つまらない」と表示されるではないですか。
うーん、その検索結果のひとつ、「 邦画がクソな理由 - ( ^ω^)くろ速!」を開いてみます。
- 糞真面目に作りすぎて退屈 そのくせ映像が安っぽい
- 予算と使い道
- まずセット臭半端ない
- アクション映画が少ない
なるほど、言えてるかも知れません。まず、映画 は娯楽ですものね。
1950、60年代が日本映画の黄金期
でも、それは現在公開されている映画だけを見ているからかも知れません。邦画の公開本数から日本映画黄金期を考えてみます。
- 一般社団法人日本映画製作者連盟/過去データ一覧(1955年~2015年)
邦画公開本数
1960年には年間547本の映画が公開されていました。しかし、TVの普及とともに公開本数が減少し、1991年には半分以下の230本になってしまいます。
2006年ころから盛り返しています。
入場者数
1955年から減り続け、現在は5分の1以下です。 - 一般社団法人日本映画製作者連盟/米国アカデミー賞「出品作品・受賞歴」
1950、60年代は米国アカデミー賞にノミネートされた作品が多い。
TV放送が始まったのが1953年。徐々にその影響が出てきます。1950、60年代が映画の公開本数、入場者からみて日本映画の黄金時代だったというのが分かると思います。
「世界の映画監督が選ぶベスト100」1位「東京物語」
世界で最も信頼性が高く、権威があると言われている映画雑誌「サイト&サウンド」*1に英国映画協会(BFI:British Film Institute)が10年に一度行っている世界の映画監督、評論家が選んだオールタイムベストのトップ100が掲載されています。
このオールタイムベストは投票者リスト「All voters」が公開されていて、誰がどの作品に投票したを調べることできます。
日本人の投票者
日本から投票に参加している人を「Japan」の表記を目印に拾い出してみました。
BFIへのリンクを貼り付けましたので、名前をクリックすると投票した作品が分かります。
- Daisuke Akasaka(赤坂太輔 - Wikipedia)
- Kore-eda Hirokazu(是枝裕和 - Wikipedia)
- Okajima Hisashi (岡島 尚志:独立行政法人国立美術館 国立映画アーカイブ 館長)
- Sam Ho(香港?)
- Isamu Hirabayashi(平林勇)
- Katsue Tomiyama
- Hiroshi Komatsu(小松 弘)
- Shinozaki Makoto(篠崎誠 - Wikipedia)
- Ken'ichi (Ken) Okubo(大久保賢一 - Wikipedia)
- Tadao Sato(佐藤忠男 - Wikipedia)
- Sion Sono(園子温 - Wikipedia)
- Shinji Aoyama(青山真治 - Wikipedia)
- Kazuhiro Soda(想田和弘 - Wikipedia)
- Akira Tochigi(とちぎあきら プロフィール)
- Tomoyo Kawai
- Udagawa Koyo(宇田川幸洋 - Wikipedia)
- Yoshio Yasui
投票結果を次に示します。
2012 監督が選ぶベスト100
The Greatest Films of All Time 2012 Directors’ top 100
日本の作品が4本入っています。
1位 Tokyo Story (1953) 小津安二郎監督「東京物語」
17位 Seven Samurai (1954) 黒澤明監督「七人の侍」
18位 Rashomon (1950) 黒澤明監督「羅生門」(撮影:宮川一夫)
67位 Ugetsu Monogatari (1953) 溝口健二監督「雨月物語」(撮影:宮川一夫)
2012 批評家が選ぶベスト100
The Greatest Films of All Time 2012 Critics’ top 100
日本の作品は6本入っています。
3位 Tokyo Story (1953) 小津安二郎監督「東京物語」
15位 Late Spring (1949) 小津安二郎監督「晩春」
17位 Seven Samurai (1954) 黒澤明監督「七人の侍」
24位 Rashomon (1950) 黒澤明監督「羅生門」(撮影:宮川一夫)
50位 Ugetsu Monogatari (1953) 溝口健二監督「雨月物語」(撮影:宮川一夫)
59位 Sansho Dayu (1954) 溝口健二監督「山椒大夫」(撮影:宮川一夫)
宮川一夫カメラマンが世界から評価されているのがわかります。
1950年代の映画が評価されている
1950、60年代が日本映画の黄金期であることが作品の評価からも分かります。この時期の日本映画をみないまま「邦画はクソ!」とはいうべきではないでしょう。
溝口健二監督の作品は見ていません。機会があれば大きなスクリーンで見たいものです。
まとめ
黒沢明監督の「七人の侍」の感想を書こうとして、「邦画」について検索しようとすると、「邦画はクソ」とか「邦画 つまらない」と表示されました。
えっ? 日本映画黄金期の名作を見ないで言っているんじゃないの? と思いました。
映画や小説は古典と競争しなければならない宿命があります。
面白いという保証のない現代映画をみるなら映画黄金期の名作を見るのをオススメします。
ということで、「デスノート」、「君の名は。」、「永い言い訳」、「怒り」、「聲の形」、「ジェイソン・ボーン」、「SCOOP!」、「シン・ゴジラ」、「ハドソン川の奇跡」などが公開されているのですが、 TOHOシネマズ 「午前10時の映画祭」の「七人の侍」を見てきました。
2023/03/27 追記 「 Greatest Films of All Time Critics’ poll 2022 」
2022年版が発表されているようです。
「発表されたニュース」
こちらが批評家が選んだもののようです。
【Order list「250 to 1」「1 to 250」】の「1 to 250」をクリックすると、1位から250位の作品が表示されます。
日本映画のランキングが下がっていますね。
こちらが映画監督が選ぶオールタイムのベスト100です。
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