目次
- 熱く語る青山教授
- 「オペラ座の怪人」はいっぱいある
- オペラ座を舞台にした三角関係の話
- アンドリュー・ロイド・ウェバーの音楽の素晴らしさ
- 醜い男が美しい女性に恋するということ
- ミュージカルスターへの憧れはハンパない
熱く語る青山教授
「舞台芸術の魅力」を先行学習しています。この科目を真っ先に学習しているのは、面白いブログが書けるようになりたいから。それが叶うかどうかは分かりませんが、学習を進めると、青山昌文教授が熱っぽくガンガン語っているのに圧倒されました。
こんなブログもあります。
角刈りで、柔道をやっているようなごっつい体格の青山教授。熱く語る「舞台芸術の魅力」が面白いのですが、その中で一番スペースを割いて力を入れているのが「オペラ座の怪人」です。
オペラ、バレエ、ダンス、ミュージカル、現代演劇、歌舞伎、能、人形浄瑠璃、古典演劇・・・これだけ広い分野を扱っているのに、「オペラ座の怪人」の単演目だけに11ページも割いているんです。この分量はかなりもの。青山教授が「オペラ座の怪人」が重要な作品と位置付けているからに違いありません。
「オペラ座の怪人」が名作である証拠は、ロングランを続けている作品であることからも分かります。
- オペラ座の怪人 (1986年のミュージカル) - Wikipedia
『オペラ座の怪人』は豪華な衣装や舞台装置に大金をつぎ込むメガミュージカルの先駆けとして、1986年10月9日ロンドンのウエストエンドの「ハー・マジェスティーズ劇場」で初演され、1988年1月26日にはニューヨークのブロードウェイでも上演がはじまり、大ヒットとなった。
1986年から、ずっと今でも公演しているんです。
「オペラ座の怪人」とは名前を聞いたことはありますが、見たことはありません。青山教授が熱く語ったこともあって、観ることにしました。
「オペラ座の怪人」はいっぱいある
最初に見たのがレンタルDVDの「オペラ座の怪人」。これは1986年のアンドリュー・ロイド・ウェバー版のミュージカルを映画化したものです。こう断らなくてはならないのは、多くの「オペラ座の怪人」があるからです。
Wikipedia「オペラ座の怪人」で、映画やテレビドラマになった作品を数えると、こんなにあります。
- 1909年、ガストン・ルルーが小説「オペラ座の怪人」を発表
- この小説は9回映画化されています。
- 設定を変えた翻案映画化が3回。
- テレビドラマ化6回。
- ミュージカル3回。
前に「美女と野獣」を原作とした映画、テレビドラマ、バレエなどが多くて驚いたのですが、「オペラ座の怪人」も負けていませんね。(「不朽の名作『美女と野獣』」)
レンタルDVDが素晴らしかったものですから、アマゾンの動画配信サービス「Amazonプライム・ビデオ」でみました。それも、ひとりで見た後に、義母と一緒にと二回も見ましたよ。
これも素晴らしかった。こちらはカーテンコールの最後にアンドリュー・ロイド・ウェバーが出てきて、挨拶をします。
プロデューサー、作詞、舞台美術などのスタッフが紹介されて登場。さらに、初代ファントムを演じたマイケル・クロフォードが紹介されます。
「あぁ、ここで、クリスティーヌ初代キャストのサラ・ブライトマンが出てくれば凄いのに・・・」
だけれども、無理なんじゃないかと思いました。
「オペラ座の怪人」はアンドリュー・ロイド・ウェバーがサラ・ブライトマンのために作ったミュージカルです。そして、「キャッツ」の小さな役しかなかった彼女を「オペラ座の怪人」の主役に抜擢、強引に押し通したのです。
アンドリュー・ロイド・ウェバーとサラ・ブライトマンはそれぞれ結婚していましたが、離婚して二人は結婚。しかし、6年後には離婚してしまったのです。
離婚した相手になんか、会いたくないじゃないですか。だから、サラ・ブライトマンは出てこないと思ったのです。ところが、サラ・ブライトマンが出てきて「The phantom of the opera」を歌うんです。
ファントム役は、4人。
- カナダ初代キャスト:コルム・ウィルキンソン
- オーストラリ初代キャスト:アンソニー・ワーロウ
- ロンドンキャスト:ペーテル・ヨーバック
- ロンドンキャスト:ジョン・オーウェン・ジョーンズ。
もう、圧巻です。
オペラ座を舞台にした三角関係の話
物語はファントムとクリスティーヌ、それにラウルの三角関係の話です。
ファントムと言えば F-4 戦闘機を思い出しますが、phantom は幻、幻影、幽霊、お化けという意味です。
Wikipediaにあらすじがありますが、(オペラ座の怪人 (2004年の映画) )長いので要点だけ。
- 1919年、舞台はオークション会場。
猿のオルゴールが競売に架けられています。
競っているのはファントムの恋敵だったラウルとマダム・ジリー。
マダム・ジリーはファントムの過去を知っている人間です。
猿のオルゴールはラウルが落札します。
次の競売であるシャンデリアが紹介されると、画面はモノクロからカラーに変り、シャンデリアは輝き、1870年になる。
これがファンタジーの入り口です。私たちは現実的な世界から怪奇な世界に引き込まれて行きます。
オペラ座には謎の男が住んでいて、月給とボックス席を支配人に要求していました。
この男の過去をマダム・ジリーが語るシーンがあります。
見世物小屋の一座から逃げ出して、オペラ座に住み込んだ男がいました。ひどく醜い容姿をしていたことから母からも愛されず、見世物小屋の見世物になっていたのです。日本でも、奇形の子供を見世物にすることがあったそうで、昔のモラルはかなり酷かったようです。
ファントムは容姿は醜いものの、素晴らしい音楽才能の持ち主です。彼が「音楽の天使」となり、ヒロインの女優クリスティーヌが才能を開きます。それまで主役を務めていたカルロッタの代役で歌うことになったのです。
主役となって歌うクリスティーヌを見て、初恋の相手のラウルが楽屋に訪ねてきます。
これに嫉妬を燃やすファントム。これが三角関係の始まりです。
アンドリュー・ロイド・ウェバーの音楽の素晴らしさ
Youtubeには膨大な数の「The phantom of the opera」がアップされています。その検索結果はこちら。
ミュージカル嫌いな人も、まず、音楽を聴いてみてください。
壮大なパイプオルガン。ビートの効いたリズム。それにクラッシュックの要素があるメロディが奏でられます。きっと誰でも好きになるはずです。
クリスティーヌを主役へと導いた「音楽の天使」、それがファントム。最初の公演が成功したあと、クリスティーヌはファントムに誘われて鏡の中へと入って行きます。鏡の奥はファントムの住む隠れ家に繋がっているのです。
そのときに歌うのが「The phantom of the opera」です。作曲はもちろんアンドリュー・ロイド・ウェバー。彼の父親はウィリアム・ロイド・ウェバー。ロンドン音楽大学の終身学長だったといいますから、生まれも育ちも音楽の超エリートですね。
ロンドンで行われた25周年記念公演の舞台挨拶で、ウェバーは興味あるエピソードを紹介していました。初めてハー・マジェスティーズ劇場に来たのは5歳のとき。「英雄」を聞いたと4階の遠い席を指さします。小さいときから音楽に親しんでいたようです。
私は、小さいときから農作業を手伝わされていましたから、うらやましいを通り越して、おとぎの世界の話です。
現在ブロードウェイでは、「オペラ座の怪人」「スクール・オブ・ロック」「キャッツ」「サンセット大通り」とALW4作品が同時に上演しています。(「オペラ座の怪人・キャッツのアンドリュー・ロイド=ウェバーが作曲したミュージカルソングの名曲TOP50発表 – 禁断劇場」より)
アンドリュー・ロイド・ウェバーの凄さが伺えます。
醜い男が美しい女性に恋するということ
ファントムの隠れ家にクリスティーヌを連れて行くときに歌う「The phantom of the opera」。これが「オペラ座の怪人」のテーマ曲です。
And though you turn from me, to glance behind,
The Phantom of the Opera is there -Inside your mind...
たとえお前が私に背を向けようとも
後ろを振り返ればオペラ座の怪人は
そこにいる――お前の心の中に
最後のサビでは、歌うクリスティーヌにファントムが「歌え、私のために」と合いの手を入れます。
ふつう、恋愛は愛情を多く持っていると弱気になるものです。しかし、ファントムが自分の醜さを卑下もせずに力強く求愛するのは、私たちの常識を超えています。
クライマックス。
ファントムはラウルの首に縄をかけて、クリスティーヌに言います。
「求愛を受け入れなければラウルを殺す」と。
クリスティーヌは迷いながらも、ファントムへ情熱的なキスをします。
「あなたはひとりぼっちではない」
ファントムは、なぜキスをしたのか悟っってしまったのでしょうか。
愛するラウルを助けるため? ファントムにひかれていたから?
がっくりとうなだれ、「このことは誰にも言うな。ここから去れ」と言います。
現実はそうなんだ。この展開に納得しながらも、観客は自分を重ね合わせてファントムに同情し、クリスティーヌの辛さも理解します。
ラウルが登場しなかったら、 ファントムとクリティーヌの関係は「音楽の天使」のままでいたのでしょう。クリティーヌとラウルの恋仲が復活するのはファントムの指導で主役になったからで、原因が自分の行動にあります。これが悲劇です。
ミュージカルスターへの憧れはハンパない
映画「オペラ座の怪人」の批評を検索しましたら、 「一人だけ歌の下手っぴな人が混じっている」というのを見つけました。映画批評家・前田有一さんのサイトです。
「あれ、そうなの?」と思って、Youtubeの「The phantom of the opera」検索結果を聞き比べるとひとりだけ、声の質が違います。
2004年の映画「オペラ座の怪人」 のファントムを演じたのはジェラルド・バトラー。
グラスゴー大学で法律を学び、最優秀の成績で卒業。エリザベス女王のマネージメントを扱う弁護士事務所に就職した。アルコール依存症になるほど苦悩したが、事務所の同僚に「もっとやりたいことがあるんだろう」と言われ、俳優を志すことを決意した。
(Wikipedia「ジェラルド・バトラー」より)
彼は歌手ではないんですね。それも、弁護士になる道から俳優になったというんですから、驚きです。
それにしても、主役の座を射止めた人の経歴を見ると、凄まじいものがあります。
ロンドンの25周年記念公演を見ると出演者の多さに驚きます。たくさんの若く美しい女性がその他大勢の役に甘んじていて、明日の主役の座を夢見ているんでしょう。
ブロードウェイの劇場で、オーディションに参加するダンサーたちを描いた「コーラスライン」という映画を観たことがありますが、きっとそんな世界が展開されているのです。
劇団四季のオリジナルキャストでクリスティーヌを演じたのは野村玲子さんです。
北海道旭川商業高等学校卒業後、富士銀行旭川支店の窓口に勤務したが、1年間で退職、幼い頃からの夢だったミュージカル女優を志し1981年上京、劇団四季の研究所に入る。
入団前からの憧れの役は『ウエストサイド物語』のマリア役だった。
1983年劇団員に昇格、初舞台は「エビータ」のミストレス役。
その後、『ジーザス・クライスト=スーパースター』のマグダラのマリア、『コーラスライン』のディアナなどを務めて同劇団の看板女優となる。(Wikipedia「野村玲子」より)
彼女の略歴を見ると、やはり「コーラスライン」のような世界があります。
ミュージカル女優を夢見て、 看板女優となる。どんな人生なのでしょう。