シロッコ手習鑑

放送大学の心理と教育コースで学んでいます。人間と文化コースにも興味があります。学んだことを基に自分の考えを組み立てて伝えていきたい。

デジタルなのに音質が変わる? 妻はコピーCDと原本を聞きわけた

目次

デジタル信号は劣化しない

週アスPLUSの記事が話題になっています。

weekly.ascii.jp

論理的にデジタル信号は劣化しません。それなのに「SDカードで音質が変わる」と言っているからです。

アナログ回路は信号が劣化します。ノイズが入り込んだり、電流が変化することによって電源電圧が変化します。電子部品の特性が理想のものと同じになることはありません。コイルなのに抵抗やコンデンサの成分があり、コンデンサなのにコイルの成分があり、導線なのに抵抗やコイル、コンデンサの成分があって、理想のアナログ処理は出来ないのです。プラトンのイデアみたいなものです。また外部から電磁ノイズが入れば導線で信号が作られてしまいます。

それに比べ、デジタルは信号が劣化しません。ある値を境に電圧が高いときを「1」、 境より低いときを「0」としていますから、ノイズが入ったりしても閾値を超える変化がなければ出力に影響は起きません。(負論理は逆)

さらにエラー補正回路がある場合がもあります。エラー補正回路があると、修復可能なエラーは補正して復元します。復元できないエラーは検証ブロックごとエラーになります。画像ですとモザイクが入ったようなブロックノイズ、音声だとボコッというような音になるはずで、音質劣化のような微妙な変化はないはずなのです。

(2018/06/23 追記)

CDを読み取って修復できないエラーがあれば、補間される。ただ、補間はめったに起きないそうです。

 

コピーしたCDは音質が悪いのか?

2000年ころ、コピーCDと原本を聞き比べる実験をしたことがあります。

妻に「自宅でも車でもCDの音楽を聞きたいけど、いちいち持ち運ぶのが面倒だ」と言われ、PCでCDをコピーしたのですが、妻は「コピーしたCDは音質が悪い。こもったような音になる」と言い出して困ってしまいました。

私はMPEGの伝送装置開発に従事していたことがあります。MPEGエンコーダボードの設計もお手伝いしました。ですから、デジタル信号になってしまえば、その後は劣化しないということに自信がありました。

「もし、デジタル信号のコピーに失敗した部分があっても、補正回路が働く。補正しきれないエラーがあれば、ひとつのブロックがエラーとして判定される。だから、音質の劣化ということではなく、まともな音楽にならない部分が出来るはずだ」

こう説明しましたが、妻は納得することはありません。
そこで、実験をすることになりました。

妻は百発百中で原本と複製を聞き分けた

コピーしたCDと原本と聞き比べることにしました。

実験に使ったのは以下です。

  • 原本CD
  • コピーしたCD
  • やや大きめのCDラジカセ

実験に参加したのは妻、娘、それと私の3人。

実験は以下のような方法です。

  • リビングとキッチンがあり、部屋幅半分くらいの仕切りがあります。仕切りは下部がカウンター、上部が食器棚、中間はがら空きになっています。
  • CDを再生するのはキッチン。私がラジカセに原本CDか、コピーCDか分からないように入れて再生します。
  • 聞くのはリビング。妻と娘が私が再生したCDを聞いて、原本CDを再生しているのか、コピーCDを再生しているのかを当てます。
  • テストした回数は5、6回以上。10回はしなかったと思う。

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結果。妻は百発百中。どちらか迷うというような雰囲気は少しもなく、音楽が鳴り始めると直ぐに分かるようでした。判別できない私からすると想像するしかないのですが、安いスピーカーと高価なスピーカーを比較したときのように感じたのかも知れません。娘は判別できませんでした。私はCDを入れた人間なので、原本なのか、コピーなのか知っているのですが、音質の違いを感じませんでした。

何故なのか検索しまくった

不思議な結果でしたので、「cd コピー 音質 劣化」のようなキーワードで検索しまくりました。PCでCDがコピー出来るようになり始めた時代でしたので、本格的に検証しているサイトが見つかりました。(今もありますね)

その方の説明は以下のようなものでした。

  • PCでCDをコピーしたときにエラーがあると、再生するときに補正回路が働くので電源が揺れる。それがDA変換に影響する。
  • ジッターが影響するという説明があるのですが、私にはよく分かりません。バッファが溢れてしまったりするのでしょうか。

二重盲検法

週アスPLUSの記事に対する「はてなブックマーク」では「ガチって言うから二重盲検期待したのに」というコメントにスターがいっぱいついています。

二重盲検法とは、医学の試験などで薬や治療法などの性質を、医師にも患者にも分からないようにして行う試験のことですね。

私の実験は私が原本のCDか複製したCDかを知っていたので、二重盲検法にはなっていません。妻が私の表情か何かで原本CDか、コピーCDか、無意識に分かってしまい、それが聞くときに心理的に影響を与えた可能性もあります。車でCDを再生したときも、原本だから音質が良い、コピーだから音質が悪いと思い込み、それが心理的に影響しているかも知れません。しかし、その可能性はあっても蓋然性はほとんどないと思います。

まとめ

昔、原本CDとコピーCDを再生して、違いを聞き比べる実験をしました。妻は百発百中で原本かコピーか聞き分けることが出来たが、娘には分かりませんでした。当時、何故なのか検索して、再生するときに補正回路が働くと電源が揺れ、それがDA変換に影響するという説明に納得しました。

しかし、私の実験は二重盲検ではなかったので全く疑いようのないということではありません。

以上の経験があったことから、私は週アスPLUSの記事を読んで納得しました。SDカードがAD変換部に与える影響を少なくすれば、音質は良くなることはあると思います。しかし、ライター一人の検証では思い込みで音質が違って聞こえてしまう可能性はゼロではありません。二重盲検のテストをして、「トンデモ」という疑いを晴らした方が良いと思ったのでした。

おまけ・アマゾンのレビュー

アマゾンのレビューが荒れていますね。星5つが41、星3つが2と素晴らしい評価と思いましたら、トンデモ扱いなようです。

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 妻が判別出来た理由について考察してみました。

sirocco.hatenablog.com