シロッコの青空ぶろぐ

高卒シニアが低学歴コンプレックス脱出のため、放送大学の人間と文化コースで学んでいます。通信制大学で学ぼうとする人を応援したい。学んで成功する人が増えれば、私のやる気も燃えるはず。

「同じ映画を何度も見てどこが面白いんですか?」に答えてみます

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著作者: Forsaken Fotos

男が一人で映画を見ているこの写真、なんか、私のような気がします。寂しいように見えるけど、「オレには映画があるからいいんだ」ってやせ我慢しているおっさん。

知っている役者さんが出てくる映画は嫌だった

はてな匿名ダイアリーのこんな記事が話題になりました。

いい加減気付こうぜ

同じ映画を何度も見るって普通じゃないよ
一回見てわからないことがあるならそれでいいじゃん
人に聞くとか評論見るとかでいいじゃん
何度も同じ映画を見るのってホントキモいと思う

 (「はてな匿名ダイアリー」より)

私も、そう思っていたことがありました。結末の分かっている同じ映画を何度も見て何が面白いの? って。

福島の田舎町に住んでいたとき、私はどう生きていいかも分からず、毎日飲んだくれていました。映画は現実逃避の手段でもありました。お金を払って暗い劇場に入れば夢の世界が広がるのです。

邦画よりも洋画が好きでした。邦画には高倉健さん、吉永小百合さんなど有名な俳優さん、そうでなくてもテレビでみたことのある人が出て来たりします。だから、もう、これは「嘘の世界だ」って、はっきり分かってしまって、夢の中に入りきれなかったのです。

その点洋画はどっぷりと映画の中に入ることが出来ました。当時は知っている外国の役者さんは一人もいなかったからです。

  • 「ロッキー」「がんばれ!ベアーズ」
    自分と同じようにダメな主人公が活躍するのは気分爽快でした。
  • 「狼たちの午後」「燃えよドラゴン」「パピヨン」「ダーティハリー」、エアポートシリーズ、「JAWS/ジョーズ」
    実際には自分が体験できないことを映画館で味わうことが出来ました。

映画が終わって、外に出ると現実の世界に戻りましたが、元気が出たような記憶があります。こんな映画の見方でしたから、同じ映画を何度も見るという発想はありません。内容を知っている映画を見てもつまらなかったと思います。

それが、現在ではそれほどでもない新作映画を見るなら、名作を何度も見たほうが良いと考えるようになりました。

なぜ、何度も同じ音楽を聞くのですか?

「同じ映画を何度も見てどこが面白いんですか?」と聞く人には「なぜ、何度も同じ音楽を聞くのですか?」と聞きたい。

面白い映画は何度みても面白い。

「風と共にさりぬ」のオープニングで、二人の男性からチヤホヤされ、パーティに誘われる美しさく我がままで放漫なスカーレット。

そこだけをみてもいい。

「燃えよドラゴン」だったら、ブルースリーの鍛えられた身体とアクションは何度みても素晴らしい。自分が弱くて、不条理なことがあってもいつも我慢しているけれど、ブルースリーのような肉体だったら、と夢見ることも出来ます。

「オペラ座の怪人」だったら、その音楽を聴くだけでも価値がある。

「なぜ、何度も絵画を見に行くのですか」との答えに似ているかも知れません。

坪内逍遙は歌舞伎をギリシア神話のキマイラに例えたことがあります。

演劇改良運動から黙阿弥を擁護した坪内逍遙(一八五九~一九三五)は、日本の歌舞伎が西洋演劇にはない特色があることに気づいていた。彼は、これを「歌舞伎キマイラ説」という比喩で説明した。キマイラとは、獅子の頭、山羊の胴体、竜の尻尾をもつギリシア神話に登場する怪物。歌舞伎の舞踊を頭、科白を胴体、音楽を尻尾に喩えた。
つまり、舞踊・演劇(科白劇)・音楽(浄瑠璃)という三要素が一体となった歌舞伎は、西欧の古典主義演劇の概念からみると怪物であるということである。

 (21世紀の図書館「黙阿弥と歌舞伎 中編」より)

 演劇(科白劇)あり、音楽あり、それぞれ、じっくり楽しむことも出来るのです。

映画は人間の物語でもあり、人生の哲学として考えることもできますが、動画(絵画)であり、その美しさ、見事さだけを味わってもいい。映画は音楽でもあり、あらゆる要素が詰め込まれているのです。

そこまでは分かった。それでも、新しいまだストーリーの分からない映画の方が魅力的ではないのか。そんなと疑問が残るかと思います。

ただ、新しい映画は古典の名作よりも面白いことは少ないのです。

見てよかったというのは年に数本しかないはずです。

映画をたくさん見ると変わります

蓄膿症の手術をするために入院したことありました。 そのとき、友人が「シナリオ」という雑誌を持って来てくれました。

映画はセリフが決まっていて、カメラの前で演技して撮影されます。そんなことは分かっていましたが、「シナリオ」の掲載された台本を見てから、映画がどんなふうにして作られるのか興味が湧きました。

  • あ、今、カットが切り替わった。
  • あ、今度はアップだ。
  • カメラが移動している・・・。

映画館にノートを持ち込んで、セリフなんかをメモしながら見たこともあります。

映画が面白くなって、レンタルビデオの映画をみて、テレビの洋画劇場、NHKの名画劇場、BSの映画を録画してみました。新作映画も見ます。

録画したビデオが300タイトルを越えるころには、ずいぶんと映画を見る目が肥えて来ました。監督によって映画の色合いも違いますし、役者さんの演技もいろいろあるのがわかってきます。

こんな状態で新作映画を次々と見ると、段々と「見て損した」と思うことが多くなりました。面白いと思えるのは10本に一本とか、二本とかになってしまったのです。

数多く映画を見ると、映画監督の名前も覚えます。この監督の映画なら、間違いないというか、大丈夫だと期待して見るようになりました。脚本家で見る映画を選ぶこともありました。

今では、昔のように知らない役者さんが出る映画の方がリアルだから良いとは考えていません。監督や役者さんや衣装・・・いろんな人によって作りあげた世界映像の完成度の高さ、感動的なシーン、いい映画は何度みてもいいと思います。見て失敗したと思うより、いい映画を何度も見た方が得るものがあります。

ちなみに、一番多く見たのはこの映画。十数回は見ていると思います。

sirocco.hatenablog.com

Youtubeに「好きなものの話」と言うトーク番組の録画があります。その中で松本ひとしさんが5、6回、千原ジュニアさんは10回以上は見たと言っています。

同じ映画が好きで、同じように何度も見ているのは仲間みたいで嬉しい。

今はこんな映画の見方をしています

期待して映画館に行ったのに、つまらなくて 映画館を出たくなってしまうことがあります。

  • スピルバーグ監督「ミュンヘン」がそうでした。
    「激突!」、「ジョーズ」、「カラー・パープル」は好きですが、好きでない作品もあります。
    この映画は、暗殺に手を染めていくことで精神的に病んでいく主人公達の苦悩を描きたかったそです。それを意識して見直すと違う結果になるかも知れません。
  • 「シン・ゴジラ」
    数々の映画賞を受賞していますが、あの会議のシーンは苦痛で映画館を出ようかと思いました。評判を聞いて見ることにしたのに私には合わなかったようです

こんな経験が嫌なことから、新作はかなり調べてから見に行くようにしています。

参考になるのは「Yahoo! 映画」のレビューです。

アマゾン・レビューのように文章から参考にすべきレビューなのか、無視すべきなのか難しいところもありますが、酷評する訳にはいかないプロの批評よりは参考になります。

 

あと、最近よく行くのか、「午前十時の映画祭。名作として評価の定まった映画ですから安心して見に行けます。

これは全部見たかった。しかし、見れたのは10本。何度も見た映画なのに見に行ったのもありますし、名前を聞いても見ていなかった映画もあります。

今年度最後の「浮雲」は見に行きたいと思ってます。名作と聞いてDVDを見始めたのですが、感情移入もできなくて見るのを止めてしまったことがあるのです。随分前の話です。大きな画面でじっくり見れば良さが分かるのではないかと期待しています。

「午前十時の映画祭」を見に行くと、十時という映画を見るには早すぎる時間でもかなりの人が見に来ています。若い人もいますが年配の人が多い。みんな昔見た映画が好きでまた見に来たのかと思うと同じ映画が好き同士、嬉しくなります。

まとめ

はてな匿名ダイアリーの「同じ映画を何度も見るって普通じゃないよ」という記事が話題になりました。

私は何度も同じ映画見ることがありますので、その理由を書いてみました。

妻は特別な映画ファンではないですが、「タイタニック」を4回見に行って、DVDも購入しました。「パールハーバー」は何度も見に行って、DVDも購入。毎朝「パールハーバー」のテーマを見覚ましに使っていました。「フラガール」、「永遠の0」も。

何度も見たくなる映画、それが名画です。

 

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