目次
- 論述式の通信指導問題をどう書くか
- 「論じる」とはなにか
- 何を書けば先生は喜ぶのか
- 「論じる」は結論を導くための議論を展開する
- 学問とは自分で問題をつくること
- 「自由に論じる」ということ
- まとめ
- 「日本語アカデミックライティング」が参考になった
論述式の通信指導問題をどう書くか
放送大学の通信指導問題を提出する時期です。その締め切りが11月30日。締め切りに間に合わないと単位認定試験を受けることができなくなってしまいます。
今のところ、通信指導の問題には、次の3種類あるのが分かりました。
- 選択式
1学期に履修した科目の通信指導問題は「〇〇について述べた次の4つの文から、適切(不適切)なものを選べ」のような選択式の問題でした。
提出方法は、Webから回答可能なものとマークシートを郵送するものの2種類がありました。 - 選択式と記述式
「科学的探究の方法('11)」は、まず選択し、その選択した理由を説明する方法です。
回答は指定された様式でWrodで書いたものを印刷して貼り付けて郵送しました。 - 論述式
「国際理解のために('13)」が「〇〇について論じなさい」という問題です。
初めての論述式です。「〇〇」についてテキストから拾い出して説明するだけなら簡単です。しかし、それでは論じたことになりません。
「論じなさい」という設問はどう回答すれば良いのか調べてみました。
「論じる」とはなにか
Wikipedia に参考になる記述がありました。
論(ろん)とは、ある事象に対し順序立てられた思考・意見・言説をまとめた物である。
Wikipedia:「論」より
「論ずる (ろん・ずる)」 もあります。
- 筋道を立てて述べる。「現代文学について―・ずる」「環境問題を―・ずる」
- 互いに意見をたたかわす。論争する。また、言い争う。「夜を徹して―・ずる」
- (多く打消しの語を伴う)取りたてて問題にする。問う。「―・ずるに足りない」「貴賤を―・ぜず」
Wikipedia:「論・用法」より
岡田斗司夫さんは次のように言っています。
「この世界に存在する何かを考えるときに、考え方の筋道を示しながら自分の意見を述べる」こういったものを論といいます。
【UG】サイコパスに相談「恋愛マーケティング」「地方再生」/ OTAKING answer the questions of life の冒頭
「論じなさい」という設問には、
- 与えられたテーマについて
- 考え方の筋道を示しながら
- 自分の意見を述べることのようです。
何を書けば先生は喜ぶのか
大阪大学COデザインセンター長・池田光穂教授の記事を見つけました。
先生が喜ぶレポートは、一にも二にも、(1)議論しなければならない論点があげられており、(2)必要な分野の用語がちりばめておかれるだけでなく、その用語が精確に使われており、かつ(3)他のライバルにないユニークさ にある(=同じような答案を採点すると教師はマンネリ化するので、基礎がきちんとしてあれば、破格なものは目だつために議論への貢献と見なされやすい)、 と思われる。
詳しくは「先生を唸らせる答案やレポートを書くには?!」 を御覧ください。
もう1件、こんな記事を見つけました。
「他人と自分の意見の違いを書くのが、レポート」とおっしゃっています。
テーマについて調べ、調べたことを踏まえて自分の意見を述べるということですね
「論じる」は結論を導くための議論を展開する
放送大学図書館で見つけた本を購入しました。
- 作者: 三井宏隆
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 2004/05/01
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結論を導くための議論を展開する
この本では、「自尊感情(self-esteen)とエンパワーメントの関係を論じなさい」という設問を例に説明が行われています。
ロ.『〇〇について論じなさい』の場合
「論ずる」の意味する所は、(『広辞苑(第5版)』岩波書店)によれば、①事理を説明する。また、物事の是非をただす。②言い争う。議論する。あげつらう。③とりたてて問題とする、となっている。
レポートの場合は、①であろうが、特定の論点(issue)を巡っての”ああでもない、こうでもない”は、②も含むようである。
ここで重要なことは、「論ずる以上、予め何らかの結論が想定されている」ことであり、レポートではそうした結論を導くための議論を展開することになる。
『レポート・卒論のテーマの決め方』より(p22)
太字強調は私が行いました。
学問とは自分で問題をつくること
哲学者の〈鶴見俊輔〉さんが「学問とは自分で問題をつくることだ」と言っています。
自分で「問い」を立て、「答え」を導かなければならないのです。
きまった答を出すことを学問と考え、自分は学問ができるという自信をもって大学に入ってくる生徒に、大学は、その態度をうちくだいて、自分で問題をつくる方向にむけて馬首をたてなおすことができるだろうか。『教育再定義への試み』
— 鶴見俊輔bot (@shunsuke_bot) July 25, 2018
「自由に論じる」ということ
「~について自由に論じなさい」とか言われても、何をどうしてよいか分かりません。
どうすればいいのでしょうか。
大学のレポートなどでは「~について自由に論せよ」という問題のパターンを見かけます。この場合は自分で問いを立てなければなりません。
(「クリティカル・リーディング入門」p24)
クリティカル・リーディング入門:人文系のための読書レッスン (アカデミック・スキルズ)
- 作者: 大出敦,慶應義塾大学教養研究センター
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 2015/10/29
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問いを立てる
- Aとは何か。
- AはBからどのような影響を受けているか。
- AとBはどのような違いがあるか。
範囲を絞る。
新版 論文の教室 レポートから卒論まで
丁寧に分かり易く書かれています。ダメな例のどこが悪いのか、という進め方は目から鱗がおちること多いです。やはり、「論じる」は問をたて、答えるということです。
一冊だけというなら、この本をオススメします。
書き方のサンプル
論じるには次の3要素が必要です。
- 問題提起
- 主張(〈問い〉に対する〈答え〉仮説)
- 仮説を論証する。
卒業率3%と言われる難関「慶應通信」の卒業生がレポートの書き方を指導しています。
とても参考になります。
- 卒業生のレポートで学ぶ、慶應通信のレポートの書き方
「論ぜよ」と言われた場合は論述型レポートを書くことになります。
宇都宮共和大学 専任講師(法哲学)の吉良貴之先生がレポートの書き方のサンプルを公表されています。
- http://jj57010.web.fc2.com/writings/report.pdf
「猫のしっぽの法律問題」
法哲学なので、猫のしっぽにどのような法律的問題があるかを調べて考えています。
まとめ
今回の放送大学通信指導問題に「〇〇について論じなさい」という論述の問題がありました。回答はどんな書き方をすれば良いのか、それを調べてみました。
「〈論点〉をみつけて結論を導くための議論を展開しなければならない」ということです。
「日本語アカデミックライティング」が参考になった
追記(2017/07/27)
履修した「日本語アカデミックライティング」が分かりやすく参考にななりました。
どんな点が良かったのか。
- タイトルをつけるノウハウ。
- 問題意識から問いを作り出す。
- カードを使って概念マップをつくりり、論点、観点を見つけ出す。
論じるには論点、観点が必要で、それをどうやって見つけ出すか、その方法が書かれています。
121ページに1000字程度のレポートの回答例がありました。このレポートの出題を考えると、「人の睡眠について論ぜよ」ということになるでしょうか。
- 問い「人はなぜ眠らなかればならないか」
- 仮説〈人は睡眠をとらないと生きていくことが出来ない〉
- 論証
1.身体的・物理的理由、2.心理的、精神的理由、3.その他の積極的理由
(三つに分けるのが基準)
その文章から逆に概念マップというか、構造を示した図を作ってみました。
オンライン授業「日本語リテラシー演習('18)」で学んだ「問いの形」
追記(2022/09/30)
2018年1学期に「日本語リテラシー演習」で「問いの形」を学びました。
ブログ等を書くときにこの形を使いたいと思い、忘れないようにメモしておきます。
「XはYか?」・・・答え:Yes/No
「Xとは何か?」・・・答え:5W1H
「なぜYか?」