シロッコの青空ぶろぐ

高卒シニアが低学歴コンプレックス脱出のため、放送大学の人間と文化コースで学んでいます。通信制大学で学ぼうとする人を応援したい。学んで成功する人が増えれば、私のやる気も燃えるはず。

幸多かれと祈らずにはいられない・限界集落農家の国際結婚カップル

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限界集落農家のウクライナ人の妻

 YouTube『アヒらいふ』の動画を一気に見ました。たまたま「寒波の中、ウクライナ人と除雪して、キャンピングカーでうどんを食べました」という動画を見たのですが、どうして雪深い限界集落にウクライナ人の妻がいるのが不思議に思ったからです。

www.youtube.com

 『アヒらいふ』はこんな内容の動画です。

  • 夜明け前の真っ暗な吹雪のシーンから動画は始まります。
    「限界集落の貧乏農家にウクライナ人が嫁いで来た」というタイトル。
    雪に埋もれた軽トラのエンジンがかけられ、光るライトの中、車に積もった雪を取り除き自作キャンピングカーで出発します。
  • 後半は自作キャンピングカーでの昼食シーンです。
    寒そうな朝のシーンから一転して、二人は暖かそうなコタツで「どん兵衛」を食べます。夫が奥さんを気遣いって色々と動き回り、奥さんを大切にしている雰囲気が伝わってきます。二人の食事シーンを見るとほっとします。

 明石家さんまさんがCMで「幸せってなんだっけ」って歌っていました。自作キャンピングカーの中の「どん兵衛」が幸せを象徴しているように見えました。

 動画へのコメントは好意的なものが並んでいます。

今回はなぜか泣けてきました。知り合いもいない、言葉もわからないのに、こんな田舎へ一人できて、真夜中からの除雪の仕事にまで同行してくれて。そんなパートナーがいるのかと

 こうなると、このチャンネルには他にどんな動画がアップされているか知りたくなります。動画一覧を眺めると、順序はバラバラですが「限界集落の貧乏農家にウクライナ人が嫁いで来た!」シリーズがあり、〈① 出会い編〉~〈⑦ ウクライナ出国編〉、そして、〈結婚記念日編〉などを見ました。

 2日くらいかかったでしょうか。全部の動画を見終えると、どうか二人に明るい未来がありますようにと、二人の幸福を願わずにはいられなくなりました。

真剣に生きようとする挑戦的な態度

 なぜ私は惹きつけられて一気に動画を見たのか。それは、二人が逆境にもめげずに真剣に生きようとしている姿に感銘を受けたからです。

 動画を一通りみると、アヒルさん*1が、平凡なで無難な人生を嫌い、挑戦的に生きようとする人なのが分かります。

 その理由の一つが、就職内定したにもかかわらず、職業として農業を始めたこと。東京都練馬区に在住していたアヒルさんは、就職活動をして内定を貰うのですが、「これが本当に私のやりたい仕事なのか」と疑問を持ちます。そのとき、この本に出会ったのだそうです。

この本から強い影響を受けたアヒルさんは、企業への就職をやめて大規模農場で働いて独立し、野菜農業を経営します。そのあたりのことは、「転職なら農家に!田舎暮らし10年目」、「転職 農家のリアル 田舎暮らしは最高!」で話しています。

 もう一つが、出会いを求めてSNSアプリを始めたことです。ここで「出会い系アプリ? サクラにカモられるだけじゃないの?」と思った方は早とちり。翻訳機能つきのSNSアプリを使ったのです。その様子は「限界集落の貧乏農家にウクライナ人が嫁いで来た!① 出会い編」で、ウクライナの市場の映像・音楽とともにテロップで語られます。

 なぜ、SNSアプリを始めたのか。それはテレ東の『YOUは何しに日本へ』を見たからです。野菜農家をしていたアヒルさんは、結婚もせず一人で人生を終えるのが不安になっていました。そんなときに見たテレビ番組が彼の人生を変えたのです。そとき見たYOUは「男性に会うために日本にきた」というトルコ美女でした。「今日初めて彼に会い、彼の家で同居する」とうのです。

 アヒルさんは、「ん?!、この女性大丈夫か?」と思います。スタッフが一緒に付いていき、ドアが開くのを待ちます。どんな男が出てくるのか・・・。結果は高身長でハンサムな男性。初めて会ったとは思えない恋人同士の姿だったそうで、これがきっかけでアヒルさんはSNSを始めることになります。

 初めて彼に会い同居する、とまではいかなくても、SNSで知り合って結婚したカップルを何組か知っています。実際に会わないと・・・そう思う人がいるかもしれませんが、SNSの方が本音が伝わりやすいんだと思います。ネットで知り合った方と実際に会い、スムーズに話が進んだという経験は私にもあるからです。

 妻のイラさんにとっても、アヒルさんと結婚することは、大きな勇気と決断が必要だったでしょう。イラさんはウクライナで国語の先生をしていました。イラさんのお母さんも先生だそうです。そんなイラさんが、ひとりで日本の限界集落で農業をしている夫と暮らそうとするのですから、迷いもあったに違いありません。

 そんな二人を村人たちも応援したいと思っています。「ウクライナから農家に嫁いで来てくれた妻と、お蕎麦を食べに行きましたよ」を見ると、アヒルさんは栽培しているキャベツを隣にすむおばあさんに購入してもらいますが、渡されたお金がキャベツとは見合わないほど高額で何度も返そうとするのですが、「奥さんと美味しいものを食べて来て」と受け取りません。それで蕎麦を食べに行ったのです。

 真剣に生きようとする挑戦的な二人の行動は、ドラマのヒーロー・ヒロインのようです。

幸多かれと祈らずにはいられない

 映画評論家の佐藤忠男さんが『映画をどう見るか 』の中で、「映画は個人の、国家の自惚れ鏡である」と言っています。

映画のなかでいい恰好を見せるヒーローやヒロインは、ファンの憧れの化身であり、ファンはそのスクリーンの中にみずからとけ込んで しまいたいと願う。つまりは、ファンは、スクリーンのなかに理想化された自分自身を見て、それに惚れるのである。

 (『映画をどう見るか』p8)

ドラマのヒーロー・ヒロインように二人を見ている私達は、ハッピーエンドを期待しながらドラマを見ているように、幸多かれと祈らずにはいられません。それは動画にドラマのような対立構造があるからです。

 まず、イラさんがウクライナ人だったため、会うことさえ大変な地理的問題があります。それをYouTubeではハッピーエンドというネタバレ物語として語られています。

 話は逸れますが、アヒルさんがウクライナを訪れる話で「オデッサ」という地名が登場します。おぉ、映画で有名な「オデッサ」はここなんだと思いました。「オデッサ」はウクライナが黒海の海岸に面したところにあるんですね。

 「オデッサの階段」はエイゼンシュテイン監督『戦艦ポチョムキン』のモンタージュで絵がかれた虐殺シーンとして有名です。現在の様子をGoogle ストリートビューで確認してしまいました。映画『ロッキー』では、トレーニングするロッキーがフィラデルフィア美術館の巨大な階段を駆け上がります。巨大な階段は絵になるから映画に使われるんですね。

 閑話休題。ドラマのような対立構造の話です。

 豪雪地帯の限界集落での生活は、アヒルさんは慣れているからいいかれども、イラさんにとっては大変なことだろうと心配になります。

 アヒルさんは「世界一働きたいと思えるようなっ魅力的な農場を作りたい」( 転職なら農家に!田舎暮らし10年目)と宣言しています。「転職をすすめるのは、今後成長が見込める産業だと考えているから」(転職 農家のリアル 田舎暮らしは最高!)とも言います。しかし、ウクライナは平坦な土地で農業が行われ、ヨーロッパの穀倉地帯と言われます。限界集落での農業はイラさんが予想したものとは随分と違うでしょう。

 イラさんは国語の先生をやめて来ました。農業をしたこともないでしょう。農業は辛いのではないか、と心配しています。だから、キャベツを購入して見合わないほどのお金を渡したおばあさんも、除雪車に乗ったイラさんに手を振るようになった村人も、YouTube にコメントを入れる人も、二人を応援せずにはいられないのだと思うのです。

全力で奥さんを幸せにしようとしている

 そんな豪雪地帯の限界集落で農業を営むアヒルさんですが、全力で奥さんを幸せにしようとしています。そう思ったのは、次の3つのことからです。

 まず、「本が大っきらい(転職なら農家に!田舎暮らし10年目)」というアヒルさんですが、YouTube『アヒらいふ』とブログ『限界集落の貧乏農家にウクライナ人が嫁いで来た』を開設しています。投稿動画の一番古いのは、2019/11/04の「【海外旅行】おすすめはウクライナ オデッサ! 隠れリゾート地☆」で、いくらかでも、YouTubeやブログから収入を得ようとしているのだと思いました。

 6本目の動画「【DIY】軽トラキャンピングカーで夢の車中泊!初心者が作る物語 前編」から、自作キャンピングカーの話が始まります。この自作キャンピングカーは、奥さんと北海道を旅するためのもので、行動で奥さんを楽しませたいという気持ち動画を見る人にも伝わってきます。

 他にも奥さんを楽しませるために行われたイベントの動画がたくさんあります。東京への観光、自転車プレゼント、お蕎麦を食べに行く、ボーリング・・・。

 アクセスを稼ぐという目的のために投稿された動画でもありますが、動画を見た人たちは、奥さん楽しめたかどうかを心配してコメントが書かれています。

ハッピーエンドを求めて

 YouTubeが「寒波の中、ウクライナ人と除雪して、キャンピングカーでうどんを食べました」をオススメしてきたことから、『アヒらいふ』の動画を一気に見てしまいました。限界集落で農業をしているアヒルさんがウクライナから嫁いできたイラと結婚したいきさつを知りたかったからです。そして、動画のコメントも二人の幸福を願っているものばかりなのに興味が湧きました。

 どんな動画が再生回数が多かったのかを調べて、YouTube視聴者が何に興味を示すのか、「54本の動画を古い順に並べて」考えてみます。

その後の動画は、ウクライナ人の奥さんが登場して、5万~25万くらいの再生回数になっています。

 『アヒらいふ』の動画を一通りみて思ったのは、次のようなことです。

  • 悔いのない人生を送ろうとすると常に対立するものが生まれる。
  • 対立構造の中でアグレッシブに生きようとしている人にはエールを贈りたくなる。

 『アヒらいふ』からいろんなことを学ぶことが出来ました。ありがとうございます。

 アヒルさん、イラさん、どうぞ末永くお幸せに。

 

*1:YouTubeチャンネル主はSNSアプリで奥さんから「アヒルさん」と呼ばれていた。SNSアプリのアイコンがクレヨンで描いたアヒルだったからです。