シロッコの青空ぶろぐ

高卒シニアが低学歴コンプレックス脱出のため、放送大学の人間と文化コースで学んでいます。通信制大学で学ぼうとする人を応援したい。学んで成功する人が増えれば、私のやる気も燃えるはず。

退屈・窮屈に辟易している王女から大人の王女へ・オードリー・ヘプバーンの「ローマの休日」

目次

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (初回生産限定版) [DVD]

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ホントに何度見ても面白いのかを確認したい

はてな匿名ダイアリーに「同じ映画を何度も見るって普通じゃないよ」と言う記事があり、それに対する私の考えを書きました。

この記事のブックマークコメントに「結局答えてないような」と言うのがあって、気になっていました。

そんな折、何度見ても面白い映画のひとつ「ローマの休日」が「午前十時の映画祭」で上映されているのを知りました。どうして何度見ても面白いのか、それを考えるチャンスです。さっそく見に行ってきました。

「ローマの休日」は5、6回以上は見た映画です。ずいぶん前にTVで放送されたのを録画して何度も見た記憶があります。さらに、このDVDが発売されたときに購入して見ました。

今度は初めての大きなスクリーンです。ホントに何度見ても面白いのか。それはどんなところなのか。そんなことを確認してきました。

なぜ、同じ映画を何度も見て面白いのか

「同じ映画を何度も見るって普通じゃないよ」(「はてな匿名ダイアリー」より)

私は、そんなことはなくて、名画なら何度でも同じ映画を楽むことが出来ます。で、なぜなんどろうと考えてみると、理由は次のふたつに分類できました。

1、昔から芸術は同じものを何度も楽しんでいた。

昔話や童話、古典落語、浪曲、歌舞伎などは、結末の分かっている物語を何度も聞いて楽しむことは普通です。

絵画、音楽、詩、舞踊などは何度でも味わえます。

私の音楽だったら、吉田拓郎さんの「イメージの詩」でしょうか。なんか何度聞いたか分かりません。 クリスマスには「ジングルベル」が街に鳴り響きます。国歌の「君が代」は何回歌いました? 飽きましたか?

絵画なら、放送大学の教授・青山昌文さんはボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」と「春」が好きで、何度もフィレンッエのウフィツィ美術館に見に行ったということが「芸術は世界の力である」という本に書いてありました。

伊丹十三監督が「映画はみんなで絵を描いているようなものだ」と言ったのを記憶しています。映画は物語でもありますけれども、そのシーンの状況、俳優さん表情、音楽など、次はどうなるのかが分かっていても楽しめると思うんです。

オードリー・ヘプバーンの笑顔は何度みてもいいのですよ。

2、よく会う人や、何度も聞いている音楽は好きになっていく。

それと、こ「ローマの休日」クラスになると、見る度に登場人物に親近感が湧いて来ます。心理学の「単純接触効果」です。

初めのうちは興味がなかったり、苦手だったりしたものも、何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってくる、という効果。たとえば、よく会う人や、何度も聞いている音楽は、好きになっていく。これは、見たり聞いたりすることで作られる潜在記憶が、印象評価に誤って帰属されるという、知覚的流暢性誤帰属説(misattribution of perceptual fluency)で説明されている。また、潜在学習や概念形成といったはたらきもかかわっているとされる。
図形や、漢字、衣服、味やにおいなど、いろいろなものに対して起こる。広告の効果も、単純接触効果によるところが大きい。CMでの露出が多いほど単純接触効果が起きて、よい商品だと思ったり欲しくなったりするのである。

(「単純接触効果 - Wikipedia」より)

毎日見ているテレビに登場する人、ツイッターで毎日顔を合わせる人 、選挙でもないのに道路に掲示してある政治家の看板。それらは、意識しなくてもだんだんと好感を持つようになってきます。

同じ効果から映画スターも生まれるのだと思います。

今回は新しい気づきがあって楽しめた

しばらくぶりに見たら、忘れていたこともありました。大きなスクリーンだからか、表情から感じることが多く、新しい気づきもありました。

日本でテレビ放送が始まった年に公開された映画。

この映画は私の生まれた1953年にアメリカで公開され、その翌年に日本で公開されました。この1953年はどんな年だったかと言うと、日本でテレビ放送が始まった年です。ですから、テレビは登場しません。

  • オープニングはアン王女が各国を訪問したことを伝えるのはニュース映画。
  • アン王女が失踪したことで流される「アン王女で発熱」のニュースはキーボードからの入力や受信したメッセージを紙テープに記録できるテレタイプが使われていました。

当時のローマの様子が楽しめた。映画はローマで撮影されましたからローマの観光地がよく出てきます。

  • 髪を切るのは「トレビの泉」近くの美容院。グレゴリー・ペックが修学旅行に来ていた女子生徒のカメラを無理に借りようとして、女性の先生に追い返される。
  • アン王女がスペイン広場の階段でジェラードを食べる。あぁ、ここに行ったときジェラードを食べてきましたよ、とか。

他にも、コロッセオなど有名観光地のオンパレードです。こちらのサイトで観光地の確認ができます。

退屈さに辟易している王女から大人の王女へ

この映画はドラマの構造がガッチリしていて、話が単純です。退屈さ、窮屈さに辟易しているアン王女が王室を飛び出し、ちょい悪な新聞記者と出会い恋をし、大人の王女へと変る話です。

話はよく知っているのですがサスペンスとドタバタ喜劇で楽しめました。

あらすじ

  • ヨーロッパを歴訪するアン王女が、同じことの繰り返しの型苦しさ、退屈さ、窮屈さに辟易しているところから、映画は始まります。アン王女がノイローゼ気味で八つ当たりをするような始末。医師から精神を安定させるための注射をされて意識がもうろうとしているのですが、王国のローマ大使館から抜け出してしまいます。
  • そこに、ちょい悪なイケメンの新聞記者、グレゴリー・ペックジョーが演ずるブラッドレーが出会います。福山雅治さんがパパラッチを演じた『SCOOP!』という映画がありますが(見てない)、パパラッチっぽい新聞記者がアン王女の記事をスクープしようとします。
  • ブラッドレーにはバレているんですけれども、アン王女は自分が王女だということを隠しています。ブラッドレーもパパラッチ新聞記者であることを隠しています。アン王女はローマを観光して歩きますが、ブラッドレーは偶然を装いながら追いかけます。
  • 観光しているうちにトラブルがいろいろと起こります。そうしているうちに、二人は男女として心をひかれていきます。そういうロードムービーです。
  • なぜ、トラブルが起こるかと言うと、ブラッドレーが新聞記者なのがアン王女にバレては取材が台なしです。そこに仕事仲間のカメラマンが来てドタバタ喜劇を演じたりもします。
  • 真実の口でブラッドレーが手をかまれたふりするをして、アン王女が抱きつく有名なシーン。
  • アン王女がスクーターをいじっていたら、急に走り出します。それに、ブラッドレーが飛び乗って、スクーターがローマ市街を暴走する。それを警察のオートバイ、パトカーが追うというドタバタ。
    ドリフターズみたいな現実ではありえない展開です。
  • 危機は、王国の秘密警察に見つかり、テヴェレ川でのダンスパーティーで、乱闘が勃発します。そして、二人は川に飛び込み、逃げるのに成功します。
  • 濡れた二人は抱き合い、結ばれます。
    そして、王女は大使館へ帰っていきます。
  • ブラッドレーは記事にするのを諦めます。
    翌日に開けれたアン王女の記者会見で二人は再開します。2人は初対面を装い、特別な言葉を交わすこともありません。
    カメラマンはそっと写真を渡します。アン王女は一皮むけた大人の女性になっているのです。

若いの男女が同じ部屋で過ごすこと

意識もうろうなアン王女を自宅に返すことができなくて、ブラッドレーの部屋に泊まります。

ネットで合意のない無理なセックスが話題になりますが、ブラッドレーはよく性欲を押さえて我慢したなと思ってしまいました。

翌日の朝、 正気に戻ったアン王女が、このアパートに泊まったこと、ブラッドレーと一緒だったことを知って、下半身に手をやります。下着を確認したんでしょう。

あ、パンツはいてるから、この男にヤられていない、と安心した様子がアン王女の顔に書いてありました。

と、まぁ、そんな下世話なことが気になりました。

「ローマの休日」を見に行こう

■いい加減気付こうぜ
同じ映画を何度も見るって普通じゃないよ
一回見てわからないことがあるならそれでいいじゃん
人に聞くとか評論見るとかでいいじゃん
何度も同じ映画を見るのってホントキモいと思う
(「はてな匿名ダイアリー」より)

はてな匿名ダイアリーのこんなことを言った増田さん、良い映画は何度みても面白いものです。是非、古い映画も楽しんでください。

2017/08/11(金)まで上映されるようです。