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消費者はいつも本質を考えている訳ではない
「心理と教育コース」の「心理学概論」を履修しています。「概論」とは全体を通した大体の内容を要約して述べること。ですから、心理学はこんな学問ですよ、といろんな分野を紹介する科目を学習している訳です。
12章に「消費者行動と心理学」というのがあります。これは、消費者の行動がどんなものに影響されるのか、ということを研究する分野。
例えば、私がデジカメを購入しようとするなら、こんな具合に検討します。
- 目的から考えて、一眼レフ、ミラーレス、コンデジからタイプを決める。
- 価格コムあたりで、いろんなメーカの映像素子の大きさ、レンズ、見本の写真みながら検討する。
そして、写真はスマートフォンで間に合うことが多いから、高価でもある程度スペックの高いものにしよう、などと悩みながら、あれこれ検討して決める訳です。
ところが、何でもこんなに検討して購入する訳ではありません。
消費者への説得メッセージをどの程度よく考えるかという問題があるのです。
- 精緻化見込みモデル (Petty & Caioppo, 1984,1986)
中心ルート・じっくりと考える。事実、証拠に注目して経験を思い浮かべる。
周辺ルート・本質とはあまり関係ないことに注目する。(広告のモデルが魅力的など)
消費者はは合理的な判断をするばかりでなく、非合理的な判断をすることがある。それはどんなときか。そのような購買に関する心理を研究するのが「消費者心理学」です。
例えば、選択肢が多ければ販売するのに有利に思えそうですが、選択肢が多すぎるとかえって売れなくなるという多すぎる選択肢の問題があります。(Lyengar & Lepper, 2000)
セールスマンは非合理な選択をする消費者心理を利用します。そんな勧誘やセールスに遭ったとき、人がどのように行動するのかを研究したのがロバート・B・チャルディーニの「影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか」です。
「心理学概論・消費者行動と心理学」には、この本が役1ページ半に渡って紹介され、章末の「学習課題」にはこんな課題がありました。
- チャルディーニが示した6つの要因に対応する具体的エピソードをそれぞれ考えてい(ママ)よう。
「影響力の武器」は10年くらい前に購入して、読みかけになっていました。そのうち最後まで読むとして(←いつだ!)、とりあえず、この学習課題だけでもじっくり考えてみようと思います。
つい買わされてしまう6つの「説得の技法」
「影響力の武器」に出てくる最初のエピソードをよく覚えています。
- ジュエリーショップの店主がトルコ石が売れ残って困っていました。値段の割には質が良いのに売れないのです。
- そこで、値段を半分にするように店員に指示しまます。
- 後日店にいくと、宝石は全部売れていました。
- 驚いたことには、宝石は倍の値段で売れていたのです。
店主の指示した文字が汚かったものですから、1/2にして欲しかったのに倍にしてしまったのです。
消費者が合理的な判断をしていない例ですね。
さて、学習課題のチャルディーニが示した6つの要因について考えてみます。(参考:Wikipedia「説得 - 影響を与えるための武器」)
- 好意
タレントさんを使ったCMなど好意を持った人からは説得が受けやすいという話です。私の最近の例ですと、これですね。立川談志さんがミュージカルを愛していたと知り、嫌いなはずの「ラ・ラ・ランド」見てきた。
立川談志さんが言うんだから間違いないという安易な判断です。 - 権威
歯医者さんの勧める歯ブラシとか、白衣を着た人だと信用されやすいですね。
私の例だと「水素水」ですかね。
ずいぶん前に極楽湯に水素風呂があって、水素水の販売機があるのを知りました。それで、あれ?「水素水」ってあやしくない? と思って検索すると、ブログ「太田成男のちょっと一言」をみつけ、情報を収集してブログを書きました。
・水素水が健康に良いというのはニセ科学なのか
・水素水を飲んでみた・「水素水とサビない身体: 悪玉活性酸素は消せるのか」
・ミトコンドリアは人体に必要なエネルギーを生み出す。しかし、危険なエネルギープラントだ
国民生活センターが「ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータが見当たらない。」と発表しても、ニセ科学だと批判する人いても、太田教授を信用してしまいます。
それと、太田教授が福島県出身なのも大きな要素です。太田教授が「大七酒造」の家系に関係があると知ってこんなブログを書きました。
「酒は大七」の野立看板は福島県出身者の心の故郷だ
あぁ、権威によってよく考えないで利用しているというより、よく考えた結果だから、この例は違いますね。 - 社会的証明
みんながやっているから。
例えば、複数の仕掛け人達が空を見上げるという実験を行った。すると、その傍に立っている人物は隣の人々が見ているものが気になって次第に空を見上げるようになる
(Wikipedia「説得 - 影響を与えるための武器」)昔使っていた男性用整髪料、シャンプー、洗剤、歯磨き。
品質が良いのか悪いのか、全く考えていません。当時使っているのが多いから使い始め、いまだに使っています。 - 希少性
限定何個、残りわずか。これに弱いですね。
山崎努さんの「俳優のノート」を見つけて、「あ、絶版だ。なくなる。はやく買わなくちゃ」と思って購入。
買ったらば、文庫版が出て値下がりしました・・・Orz -
返報性
何か良いことをしてもらうと、それにお返しをしなければと思ってしまうことです。
昨年の桂林での漓江船下りのときです。
ガイドさんが「私のサービスです」とブルーベリー、ハスの実、栗、サンザシの実、サンザシのお菓子を配りました。なんて親切な人なのだろう思いながら食べると、後でお土産の販売。お土産の見本だったのです。もう、先にたくさん食べていますから、買わないと悪いような気がして、サンザシのお菓子をふたつ買いました。
それと、「はてなブログ」で互助会と呼ばれることですね。
ブックマーク、コメントを貰うとブックマーク、コメントを返したくなる。
問題もあり、批判もありますが、「はてなブログ」が読者の交流をしやすく作ってあるのですから、責任の半分は「はてな」にあると思います。ブックマーク、コメントを貰った人には一定条件をクリアしないとお返しできないシステムにもできる訳で、完璧に否定するのも考えものだと思っています。 - コミットメントと一貫性
いったん何らかも決断をして、それを他者に表明したり、行動を開始すると、それに一貫した行動をとらなかればと思うようになる。
どこかの記事で見つけ、自分のブログで使い始めることを宣言しました。
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効果はあるとは思うんですが、歯を撮影してブログ記事するほどのものではありません。期待した70%くらいでしょうか。
だけども、やめてしまうのもなんだし、使い続けています。
まとめ
「心理学概論 (12)消費者行動と心理学」にロバート・B・チャルディーニの「影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか」が紹介されていました。これは、勧誘やセールスに遭ったとき、人がどのように行動するのかを研究したものです。
「学習課題」に具体的エピソードをそれぞれ考えてみようというのがあったので、書いてみました。
みなさんも思い当たることがあると思います。
「心理学概論」を履修している人は、自分なりの思い当たることを書きだしてみれば理解が深まるのではないでしょうか。