(Wikipedia「ヴェネツィア共和国:元首」より)
目次
代表を選ぶのに選挙より良い方法はないの?
韓国では韓国大統領の弾劾案可決され、アメリカでは女性差別やヘイト発言をするトランプ氏が大統領に選ばれ、イギリスではまさかと思えるEU離脱が可決されました。
アメリカ大統領選挙ではロシアのサイバー攻撃で民主党幹部のメールが「ウィキリークス」に公開されたとCIAが発表しています。
なぜ、こんな結果になってしまったのか。これらの出来事を見ていると住民の代表を決めるのに選挙以外のもっと良い方法はないものかと思ってしまいます。
そこで思い出したのが、「ヴェネツィア共和国」が元首であるドージェを決めていた方法です。
最も高貴な共和国ヴェネツィア(略)、通称ヴェネツィア共和国(略)は、現在の東北イタリアのヴェネツィアを本拠とした歴史上の国家。7世紀末期から1797年まで1000年以上の間に亘り、歴史上最も長く続いた共和国である。「最も高貴な国」や「アドリア海の女王」とも呼ばれる。東地中海貿易によって栄えた海洋国家であった。また、信教の自由や法の支配が徹底されており、元首の息子であっても法を犯せば平等に処罰された。
(Wikipedia「ヴェネツィア共和国」より:2016/12/11)
信教の自由や法の支配が徹底され、元首の息子であっても法を犯せば平等に処罰された国家が7世紀から1000年も続いたなんてすごいと思いませんか?
このヴェネツィア共和国が元首であるドージェを決めていた方法が面白いものでした。それはどんな方法なのか、それを紹介してみます。
現在の日本で首相を選ぶ方法に使えないもんですかね。
ヴェネツィア共和国が元首を決めていた方法
このドージェ選出方法を知ったのは2010年。NHKでヴェネツィアを紹介する番組を見たからでした。
この年の4月にイタリアへ旅行することになっていましたから、興味を持ってみた訳です。女性が妊娠すると急に周りに赤ちゃんが多いこと気が付くって言うじゃないですか。それと同じで、普段なら見そうもない番組を見たのです。
元首を決めていた方法をWikipedia「ヴェネツィア共和国/元首」をもとに箇条書きしてみます。
- まず30人の委員が籤により大評議会から選ばれる。
- この30人はさらに籤で9人に絞られる。
- この9人が40人を選ぶ。
- その40人は籤で12人に減らされる。
- その12人が25人の委員を選ぶ。
- その25人は籤で9人に減らされる。
- この9人が45人を定める。
- 45人は11人に絞られる。
- この11人が、実際にドージェを決める41人を選任する
なんと複雑な方法なんでしょう。
この方法はドージェが有力な家門から選出するという慣例があり、ドージェが血縁者に後を継がせようとする傾向が強かったのを防ぐために生み出されたのだそうです。
この方法を適用すれば、世襲の国会議員が多い問題も解決されますね。
有識者が選任するから、テレビでよく見かける人だからというだけで選ばれることもなくなりそうです。
それと、大統領や首長になりたいと表明しても、今の日本で行っているどぶ板選挙とか組織票をたよるとか、そんな手法は通用しなくなってしまいます。
選ばれるためには、論文をいっぱい書くとか、ボランティアの実績があるとか、実力を示さなくてはならなくなります。
これは、私たちからするとかなりのメリットだと思います。
ドージェの選任方法で代表を決めた場合の問題点
この方法ならスキャンダルもなく何でもうまく行くかというと、心配なことがあります。
それは、住民が私たちが選んだ代表だという意識が弱くなってしまうということです。
マスコミの発達していない時代のドージェなら、大衆はみんな雲の上の人と思っていたでしょうが、現在はそうではありません。
選挙で選べば、少なくても半分以上の支持があると予想されますが、優秀な元首を選んだはずが大衆から支持されなくて、ツイッターやブログで袋叩きになるかも知れません。
まとめ
イギリスのEU離脱国民投票やアメリカ大統領選挙では選挙というシステムの悪い面が出てしまったようです。選挙以外のもっと良い方法はないものかと誰もが考えると思います。
そこで、ヴェネツィア共和国が元首を決めていた方法を紹介してみました。
試験的に期間を決めて、どこかの市長をこの方法で決めてみるのも悪くなさそうなのですが、実現は難しいでしょうね。