シロッコの青空ぶろぐ

高卒シニアが低学歴コンプレックス脱出のため、放送大学の人間と文化コースで学んでいます。通信制大学で学ぼうとする人を応援したい。学んで成功する人が増えれば、私のやる気も燃えるはず。

【ネタバレ】2017年に「午前10時の映画祭」で観た映画

午前10時の映画祭

古い名作映画を選び、上映する「午前10時の映画祭」というのがあります。古い名作を見た方がハズレに当たることがないだろうということから、よくこれを利用します。

 2017年に「午前10時の映画祭」で観た古い映画は9本。

どれもなかなか面白かっものですから、こちらはランキングにはしませんでした。 

表示は鑑賞順。

「 山の郵便配達」

山の郵便配達 [DVD]

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評判を聞いてテレビで放映されたのを何度か見たことがある映画です。

これと言った事件が起こる訳でもなく、引退をすることになった矢沢永吉さんのような山の郵便夫が、仕事を譲る息子を郵便物を待つ人たちに紹介しながら旅をします。

淡々とした映画で、事件らしい事件は起こりません。

それでも映画が素晴らしいのはなぜなのだろうと思って見直したかったのです。

映画は感じるものです。中国の山奥の美しい映像、そこに住む素朴な人たちの心、それがフィルムに焼き付けられている映画です。

実直で生まじめそうな父の表情。素直で気の優しい息子。それが映画みているだけで伝わってきます。良い映画は空気や心が映るのです。

「奇跡の人」

奇跡の人 [DVD]

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熱病で、目も見えず、耳も聞こえなくなった幼いヘレン・ケラー。自分も盲目だったアニー・サリバンが現れて、彼女に「言葉」という概念を教えようとします。

この映画の見どころは、両親に甘えないように離れの部屋を確保し、ヘレンに教育をしようとするサリバンとの葛藤です。

手づかみで食事をするヘレン。スプ-ンで食べることを教えようとするサリバン。ヘレンは拒否してスプーンを放り投げます。それを拾って食べさせようとする。泣き、わめく、その果てしない闘いが延々と続きます。

人形を持たせて、指文字を教える。投げてしまうヘレン。

そしてついに、戸外へ飛び出したときに、ポンプでくみ上げた井戸水の流れから、ものには名前があることを理解して、「ワワ・・」と声を出すのです。

(ここ、中学で習った英語の教科書にあった)

ヘレンが熱病になったのは、言葉を覚え始まった頃。言葉という概念があることを知り始めてからでした。それが幸運だったと思います。本当に生まれたときから、目も見えず、耳も聞こえなかったら言葉を獲得できたなかったかもしれません。

サリバンを演じたアン・バンクロフトとヘレンを演じたパティ・デュークの格闘技のような芝居が凄いです。プロレスの場外乱闘と言ってもいいくらい。

今、調べると、1959年に舞台化され、アン・バンクロフトとパティ・デュークが何度も演じているんですね。それを同じ役者さんで映画化したのが、1962年。演技が凄いのも当然です。

日本でも上演され、大竹しのぶさんが何度もサリバン役をやっています。怖い大竹しのぶさんのサリバン先生、見かたったです。

詳しいまとめはこちら。

 「アラバマ物語」

アラバマ物語 [DVD]

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人種差別の激しいアラバマ州の物語。 農夫が、娘が黒人に強姦されたと訴えます。

その弁護をするのがグレゴリーペックの裁判官です。

黒人を弁護する弁護士への圧力と戦いながらも弁護するグレゴリーペック。

これで裁判に勝ったと思われるような証言を引き出します。これが映画の要なのでここは伏せておきます。

良きアメリカの正義が描かれた映画です。 

「浮雲」 

浮雲 [DVD]

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 みんなが絶賛するけれど、自分には面白くなかった映画5本 ・浮雲」に書きました。

DVDの背中合わせの二人ポーズが二人の関係を表現しています。

南方で出会って不倫の関係になった二人が、ダラダラと関係が続いていく。

裏切られても、ズルズルと男への未練を絶ち切れない女。美しいというか情けないというか、これが恋愛なのでしょうか。人間とは困ったものです。

「ショーシャンクの空に」

ショーシャンクの空に [Blu-ray]

ショーシャンクの空に [Blu-ray]

 

 評判の良い映画で名作だという声をよく聞きます。DVDも持っています。

巨悪の刑務所長、ゲイに襲われそうになったりとサスペンスもありますが、私にはどうしても、「作り物のお話ですよね」と感じてしまいます。

 監獄の中で立場が強くなっていくのも、本当は資産家であること、帳票管理が得意だったことが分かってくるからなんですが、面白いんですけれども、その辺がしっくりしませんでした。

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」

グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち [Blu-ray]

グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち [Blu-ray]

 

世界的に有名な数学科教授が学生たちに難問を出す。それを解けたのがアルバイト清掃員のウィル。ウィルは心に傷を持っていることを知った教授が臨床心理士を探すが、なかなか相性のあう心理士が見つかりません。

そんな展開のうち、妻をなくし生きる張り合いをなくした医者・ショーンと出会い次第に心を開いていきます。

心理学を学び始めたところなので、興味を持って映画を見に行きました。

しかし、普通の映画でした。まだよくカウンセリングが分かっていないんだけれども、あれはカウンセリングではないと思う。転移や逆転移があって、クライエントがセラピストに心の苦痛の反撃をしたり・・・、そういうのを期待していました。

映画としては面白いですが。

「ローマの休日」

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (初回生産限定版) [DVD]

ローマの休日 製作50周年記念 デジタル・ニューマスター版 (初回生産限定版) [DVD]

 

 何度も見た映画で、DVDも持っています。

この面白さは何かというと、普段は窮屈な生活をしている王女様が自由奔放に振舞う姿が魅力的だからです。

人気のロイヤルプリンセスが公式行事にうんざりして逃げ出してハチャメチャをする。日本でも成立しそうな話です。

日本では「あんみつ姫」があって、お城を抜け出して騒動を巻き起こします。

「ローマの休日」の日本初公開は、1954年4月27日。「あんみつ姫」の漫画は、1949年〜1955年。

セレモニーの最中。退屈な王女はスカートの中で靴をもてあそんでいますが、片方の靴がどこにあるかわからなくなってしまいます。セレモニーが終ったら席に戻らなければなりませんが、それでは、靴がポツンとのこることになってしまいます。さぁ、どうする?

こんなエピソード、どうやったら思いつくんですか。見事だと思いました。

新聞記者のグレゴリー・ペックが王女の写真を撮りたくてカメラマンを呼びますが、そこでドタバタ喜劇があります。

王女には自分たちが新聞記者であるのがバレては困る。そんなカセの中で、グレゴリー・ペックはバレないようにカメラマンに目の前にいる彼女が王女だということを伝えようとするのです。もう、これはコントです。

もっと詳しく書いたのを思いだしました。

「泥の河」

蛍川・泥の河 (新潮文庫)

蛍川・泥の河 (新潮文庫)

 

私の胸が熱く込み上がってきたのは、信雄が廓舟に住む姉弟を家に連れて来たところからです。

映画というものは葛藤があるもの。登場人物が感情を爆発させたり、事件が起きたりする。以前はそんな風に考えていました。しかし、映画のこの部分にはそういうものはありません。

信雄の家は川べりのバラック小屋のようなところでうどん屋を営んでいます。そこに友達になったきっちゃんと姉の銀子を連れて来ます。藤田弓子さん演ずる信雄の母は精一杯のご馳走でもてなし、銀子と一緒にお風呂に入り、ワンピースをプレゼントします。田村高廣さん演ずる信雄の父はとっておきの手品をやってみせて、きっちゃんたちを喜ばせます。

学校にも行っていないきっちゃん。信雄の父と母のもてなしは、小さい頃の私がひとりで母の実家に行ったときのことを思い出させます。きっちゃんたちがそんなもてなしを受けたことがないのは、慣れないたどたどしい様子を見ればわかります。

ちょっと見ただけでは、何でもなさそうな様子が描かれるのですけれど、そこから先は涙を流しながら見続けました。 

「戦場のメリークリスマス」

戦場のメリークリスマス [DVD]

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捕虜収容所での捕虜と監視する兵士の交流を描いた映画です。

最初、「戦場のメリークリスマス」と日本語でタイトルはでますが、次に英語のタイトル。「Merry Christmas, Mr. Lawrence」。

このタイトルは映画の最後に、ビートたけしさんが演ずるハラ軍曹がロレンス中佐に話す言葉です。

ロレンスは捕虜であり通訳でもありました。戦争が終り、捕虜と捕虜を監視する立場が逆転します。ヨノイ大尉は戦犯として処刑されました。次はハラ軍曹が処刑される。そんなときに、ハラ軍曹がロレンスに「Merry Christmas, Mr. Lawrence」というんです。

現実の捕虜収容所がどうだったかは分かりませんが、戦争という狂気の中ですから、刀が振り回されたりします。朝鮮人の兵士が白人の捕虜を犯すという事件があり、ハラが「切腹」をしろというところから映画ははじまります。

坂本龍一さん演ずるヨノイ大尉がデヴィッド・ボウイ演ずるセリアズに心を魅せられていく、それがメインのストーリーです。

ヨノイ大尉からは妖艶な雰囲気がします。映画だからなのですが、戦地なのにヨノイ大尉はお化粧をしています。226事件に同士として参加したかったが、それが出来なかったというヨノイ。彼からは三島由紀夫をイメージしました。

一期一会といいますけれど、どの人たちも、戦争がなかったら出合わなかった人たち。そこに「あわれ」を感じました。