シロッコ手習鑑

放送大学の心理と教育コースで学んでいます。人間と文化コースにも興味があります。学んだことを基に自分の考えを組み立てて伝えていきたい。

カラテカ・矢部太郎さんの実話ベースエッセイ漫画「大家さんと僕」にほっこり

大家さんと僕

大家さんと僕

 

目次

カラテカ・矢部太郎さんが手塚治虫文化賞受賞!

カラテカ・矢部太郎さんの漫画「大家さんと僕」が「手塚治虫文化賞受賞」を受賞したという記事を読みました。

矢部太郎さんと言えば、『進ぬ!電波少年』を思い出します。Wikipediaの「電波少年的○○人を笑わしに行こう」 から拾い出すとこんな感じです。

  • アフリカ人を笑わしに行こう
    スワヒリ語をマスターし、コントで現地の人を笑わせるのが目標
  • モンゴル人を笑わしに行こう
    辞書等は用意されず、モンゴル語の学習は現地の家族が事実上の家庭教師
  • 韓国人を笑わしに行こう
  • オランウータンを笑わしに行こう
  • コイサンマンを笑わしに行こう

無理難題を押し付けるディレクター。その課題をクリアしようとする矢部太郎さんの必死さ。ひ弱そうな体つき、芸人らしくないたどたどしい会話。そんな矢部さんを心配しながらも、次はどうなるんだろうと興味深く見ていたものです。私が知っている矢部太郎さんはそんな芸人でした。まだテレビを見いた頃の話です。

その矢部太郎さんが漫画を描いて「手塚治虫文化賞受賞・短編賞」を受賞したというのですから、ビックリです。

さて、その漫画はどういうものなのか。一部を立ち読みすることが出来ます。

画風、雰囲気が気に入り、さっそく購入して読んでみました。

ほっこりした心温まる漫画「大家さんと僕」について書いてみます。

いきなり「小説新潮」に連載

この作品は『小説新潮』に連載された作品が受賞したのだそうです。漫画家でもないのに、なぜいきなり「小説新潮」に連載できたのでしょう?

Wikipediaの「父は絵本作家のやべみつのり」という記述も気になります。そうするうちに、こんな記事を見つけました。

これよると、次のようないきさつで「小説新潮」に連載されたそうです。

  • 矢部さんと大家さんが一緒のとき、漫画原作者の倉科遼さんに会った。倉科遼さんも同じ「よしもと」に所属していて面識がある。
  • 二人の関係に興味を持った倉科遼さんが二人の物語を書かせてくれと提案。
  • その原案を矢部さんが書くことになり、4ページぐらいの漫画を描いた。
  • これを倉科遼さんが気に入り、「よしもと」の出版部に推薦し、「小説新潮」につながった。

うーん、とんとん拍子です。同じ「よしもと」に所属していたから、倉科遼さんと面識があった。「よしもと」の中でも、矢部さんが名前を知られた存在だったことがとんとん拍子に話が進んだ要因のようです。

倉科遼さんの心境はどんなだったでしょう。自分が作品にするのを諦めて、矢部太郎さんを売り込んだ倉科さんの潔さには見事です。

それにしても、いきなりこれだけの作品を描いた才能には驚きました。

矢部太郎さん恐るべし。

ジワジワくる漫画

街の本屋さんには「大家さんと僕」が山積みされています。大ヒットです。

なぜ、そんなに大衆の心を引き寄せるのでしょう。

書評まとめ読み!本の総合情報サイト | 矢部太郎「大家さんと僕」

1ページに8コマが描かれ、ひとつの話になっています。

実話ベースだという魅力

まず、この漫画の魅力は実話ベースだということが大きいと思います。本を読んだり、ドラマや映画を見るのは、その世界の人たちを心の中に受け入れることです。

電波少年で無理難題を押し付けられながらも必死にクリアしようとしていた矢部さんには愛着があります。その矢部さんが漫画にも登場し、矢部さんよりも小さくて上品な、ゆっくりしゃべる黒柳徹子さんのような大家さんとの日常が繰り広げられるのですから、どうしても見守りたくなります。

キャラクターが好き

矢部さんも、大家さんも、キャラクターとして魅力的です。気弱でお笑いに向かなそうな矢部太郎さん。物静かな黒柳徹子さん風の大家さん。この大家さん、同居している91歳の義母と似ているところがあります。浅草生まれで、小さい頃から鰻をよくたべて、歌舞伎や映画をよく見ていたから詳しくて・・・。ほのぼのとした2人の漫画を見ていると、いいなぁ、って自分のことのように嬉しくなります。

小津映画の魅力との比較

こんな記事を見つけました。

1ページ8コマ構成とコマ割りがシンプルで派手なアクションがない。こんなところが小津映画に似ていると思います。

あとは、なんといっても登場人物。「東京物語」の笠智衆さんは日本の優しいお父さん、東山千栄子さんは優しいお母さん、雰囲気が似ていると思うのです。

ぜひ読んで欲しい漫画

ページをめくっていくと、2人の心が通い合っていくのが分かります。死ぬまで一度は行ってみたい思っていた「チラン」・・・特攻隊が飛び立った「知覧」ですね。そこへ行きたいと大家さんがいい、一緒に旅をします。

大家さんが倒れて入院・・・。

ジワジワきます。ぜひ読んで欲しい漫画です。