シロッコの青空ぶろぐ

高卒シニアが低学歴コンプレックス脱出のため、放送大学の人間と文化コースで学んでいます。通信制大学で学ぼうとする人を応援したい。学んで成功する人が増えれば、私のやる気も燃えるはず。

池上彰さんの分かりやすい解説:「日銀を知れば経済がわかる」

 

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)

日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)

 

普通預金100万円の1年後に受け取る利息は?

定期預金の金利の比較」サイトによりますと、普通預金の金利が高いのはセブン銀行で、その利率は0.05%です。金利の低い新生銀行の利率は 0.01%。一番多いのは0.02%のようです。私が預金している銀行も0.02%ですので、0.02%で計算してみます。

1000000 X 0.0002 => 200.0

100万円を普通預金に預けても、一年後には200円の利息しか受け取れません。

はじめて個人年金保険 > 銀行の普通預金の金利推移」を見ると、普通預金でも1980年頃は3%の利息がつき、1990年ころの定期預金だと6%も利息がついていました。同じ100万円でも普通預金で3万円、定期預金では6万円の利息がついていた時期があったのです。

どうしてこんなに利息が違うのでしょう?

  • 利息と利子の違い:wikipediaによれば、借りた場合に支払うものを利子、貸した場合に受け取るものを利息と使い分けることがあるそうです。私もそう使い分けるとしっくりと来ますので、wikipediaに従います。

今は公定歩合で金利をコントロールしていない

学生時代に日本銀行について、

日本銀行は銀行の銀行だ。

銀行は日本銀行にお金を預けたり借りたりしている。

その金利が公定歩合というものだ。

公定歩合で物価が安定するように調整している。

学びました。しかし、現在では公定歩合で金利をコントロールしていないそうです。昔は、銀行の金利はどの銀行も同じでした。現在では銀行によって違う利子が支払らわれています。

そのような状況でも日銀は金利をコントロールしています。具体的にはどんな方法で金利をコントロールしているのでしょうか? 日本銀行のWEBには金融政策のページがあり、「2%の『物価安定の目標』と『量的・質的金融緩和』」など概要が説明されていますが、素人がいきなり見ても分かりません。

そんなときにはこの本のような池上彰さんの分かりやすい解説が頼りになるのです。

Twitterで呟いたメモ 

  • 「はじめに」はアメリカ財務長官の言葉が「世界の風景」を変えたという記述から始まります。それは「リーマン・ブラザーズに公的資金を投入する計画はない」ということ。世界経済はパニックになり、それどのような連鎖でおきたのかが解説されていきます。
    大手保険会社のAIGも危機に陥りますますが、今度はアメリカ財務長官とは別のFRBがAIGを救います。
    日本はどうだったかの説明があって、日銀がCPと呼ばれる会社の短期債権を購入したことが話されます。銀行が怖がって会社の約束手形を買わなくなったからです。
    FRBも日銀も最後の貸し手という役目がある、そんな話から日銀の役割について話すんだよ、ということで「はじめに」は終わります。
    これだけで新書12ページ。
    日銀が会社の債権を買うのは初めて知り、こんなこともするのかとびっくりしました。 
  • 「おわりに-日銀は『奴雁(どがん)』たりうるか」。歴代総裁の中でとりわけ高い評価を得ているのが前川総裁だという記述から始まります。その前川総裁が好んだ言葉が福沢諭吉の奴雁(どがん)』。
    雁の群れがエサを食べていても必ず一羽が首をあげて周りを見ているのだそうです。前川総裁の言葉を借りて、池上さんは日銀へちょっと説教のような話をします。日銀への不満でもあり、期待ですね。こうあって欲しいと。
    それで何故そういう話をするのかという展開になります。2008年、日銀は混乱していたのですね(この本の最後に書かれている日付が2009年4月)。日銀総裁がなかなか決まらず、「日銀券に代わる政府紙幣の発行を」という話も出ていたのです。
    それは日銀への不満から出た話なのだけれど、不満があるとうことは期待があることだ、と「おわりに」は閉じられます。この本は日銀の発行している広報紙のコラムをまとめたものだそうです。へぇ~、日銀の広報紙にもコラムを書いていたのかと感心しました。
    最後に参考文献が30冊掲載されています。この30冊を読めば池上さんのような事が書けるかというと、私は駄目ですね。
    本に書かれていることは理解のためのヒントでしかありません。どれだけ有用なデータベースを自分の頭に築くかは、今までの知識が重要なのですから。
    「おわりに」は3ページです。これから、目次を眺めて本文を読みます。 
  • 本文を読み始めた。読者に「あなたは」と呼び掛けたり、「そうです。◯◯ですね」と受け答えたり、テレビのキャスターのような文体です。あまりに読みやすいので、記憶に残らない危険もあります。重要な言葉を赤丸で囲ったり、構造分析しながら読みます。
  • 最初は金融の話で「金融とはなにか」から。金融とは「お金を融通する」ことで、お金を「お金が今すぐには必要ないところ」から「お金が必要なところ」へ融通すること。そこで思ったのは、なんて日本語(漢字)は便利なんだろう、ってことでした。
  • 一章 そもそも金融とは何か。預金の保護は一千万円までなのは何故かで話を結んでいる。無制限に保護すると、銀行経営者が無理に利息を上げても、顧客は「危なそうだけど高い所に預金する」となってしまう。モラルハザードを防いでいるのだそうだ。
    ペイオフとは何か?
    「ペイオフというのは、銀行預金の保護制度です。ペイオフが解禁されるまでは無制限の金額が保証されていましたが、2005年4月以降は預金1000万円とその利息までが保護されるようになりました。」
    あぁ、また、1千万円までになったのですね。
  • 銀行が乱立しインフレになった時代、中央銀行を設立でインフレ退治をしたのが松方正義。あれ? 松方って、上野の国立西洋美術館のコレクションにあるよね。ググってみたら息子だった。家系の利権も大きかったのかも知れない。
  • 中央銀行を作ったものの、金が足りなかったので紙幣には銀と交換すると書かれていた。金不足を解決したのが日清戦争。戦争に勝利して278トンもの金を賠償金として、貰う事になったからだ。日本って、ひでぇ。
  • 日銀が公定歩合以外により金利コントロールをするようになったのが1995年3月31日。その時の新聞が公定歩合を下げない事に落胆した記事があったのを記憶している。その後は新聞を読まなくなったので経済の知識は人より少ないかも知れない
  • 日銀はCPと呼ばれる短期社債を購入する事もあるそうだ。大企業は株式を発行して資金を調達したり、社債も発行する。中小の企業はそうはいかない。世の中強い者が得するようになっているのは自然の摂理。
  • 1944年、戦後の通貨をどのようにするか、イギリスのケインズとアメリカのホワイトが話し合った。アメリカが押し切り、ドルが国際通貨となったが、ケインズの世界連邦銀行を作り、新しい通貨を作る案の方が良かった。良い案が採用されるとは限らないのだ。 

金融を知るための入口

日銀の仕事は安定した通貨システムを供給することですが、具体的には何をしているのかは知りませんでした。日銀は「日銀短観」、「金融経済月報」、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)、「さくらレポート」などの景気見通し調査も公表しています。日銀WEBを見る気も起きなかった私ですが、もっと日銀を知りたいと思うようになりました。

【おまけ:アメリカ合衆国ドル

アメリカには12の連邦準備銀行があり、それぞれドル紙幣を発行しているそうです。1ドル紙幣の中央には肖像があり、その左にアルファベット1文字が描かれています。その文字が発行した連邦準備銀行を表しているのだそうです。