目次
ブラックジャック必勝法
ブラックジャックには必勝法があります。
NHK『アナザーストーリーズ 運命の分岐点「ラスベガスVS.MITの天才 全米を騒然とさせた頭脳戦」』で、その方法を紹介していました。
MIT卒業生がギャンブル投資会社を作り、ラスベガスのカジノから一晩で60万ドル(約6500万円)も利益を得たという話です。
必勝法があるならカジノで大金を手にしてみたい。しかし、それは実現可能なのでしょうか。
映画『レインマン』では、レイモンド(ダスティン・ホフマン)と弟のチャーリー(トム・クルーズ)がカジノから大金を勝ち取りました。
それは、レイモンドが《サヴァン症候群》の能力によるものでした。一晩に電話帳全てを覚えるような能力があり、ブラックジャックの<場に出たカード>、<まだ出ていないカート>が詳しくわかるのです。
私にはそんな能力はありませんが、私もカジノで大金を手に出来るのでしょうか?
ギャンブル投資会社からスカウトされる実力
ギャンブル投資会社とは
全米屈指のエリート名門校であるMITの卒業生と学生により運営されました。MIT卒業生のジェームス・マッサーが学生を集め訓練したのです。
ギャンブル投資会社とカジノの闘いは映画化され、『ラスベガスをぶっつぶせ』として2008年に公開されています。
モンティ・ホール問題
MITの学生ベンがローザ教授からギャンブル投資会社に誘われます。それはベンが数学の授業で次のような問題を正しく答えたからです。
「モンティ・ホール問題 - Wikipedia」を参考に話を進めます。
この問題が「モンティ・ホール問題」と呼ばれるのは、司会者が「モンティ・ホール」というゲームショーの番組で、論争が始まったからです。
ゲームは次のようなものです。
- 1、2、3のドアのどれかに景品の新車が入っており、それを当てるゲーム。ハズレはヤギ。
- 回答者が1つのドアを選択した後に、司会者は残りのうちヤギがいるドアを開ける。
- ここで司会者は「選んだドアを変更してもよい」という。
- 回答者は選んだドアを変更すべきかどうか。
- 正解は変更すべき。
変更しないときの当選率は 33.3% だが、
変更すると当選率は 66.7% になる。
PCシミュレーションで確認
以前にこの問題を知ったけれども何故そうなるのか理解できなくて、乱数を発生させて数えてみたことがあります。
結果は、次のようになりました。
- 始めに選んだドアのまま ⇨ 3374/10000回当たった。
- もう1枚のドアに変更する ⇨ 6653/10000回当たった。
条件付き確率による計算
以下の動画を見てから同じ考え方をすれば理解できるのではないかと思いました。
「むやみな検査を行ってはいけない理由、数学的に説明します【条件付き確率】」*1
選んだドアを変更しなかった場合
1 | 当たる確率 1/3 |
2 | 当たる確率 1/3 |
3 | 当たる確率 1/3 |
例えば「1」を選んでいて、司会者が「2」を開けても、「3」を開けても、変更しなかれば当たる率は1/3で変わりません。
選んだドアを変更する場合
1のドアに車が入っていると仮定します。
1 | 車 |
2 | ヤギ |
3 | ヤギ |
「1」~「3」を選んだ場合を分けて考えます。
- 「1」を選んで当選している場合(1/3)
司会者が「2」を開けた場合。挑戦者は変更して「3」→ハズレ。
司会者が「3」を開けた場合。挑戦者は変更して「2」→ハズレ。 - 「2」を選んでハズレの場合(1/3)
司会者はハズレの「3」を開ける。
ゲームの挑戦者は「1」を開けるから必ず当選する。 - 「3」を選んでハズレの場合(1/3)
司会者はハズレの「2」を開ける。
ゲームの挑戦者は「1」を開けるから必ず当選する。
選んだドアを変更すれば、「2/3」と当選する確率が高くなります。
今ならこの問題は完璧に答えられますが、私はベンのように優秀ではありません。
映画ではローザ教授がベンの数学答案を確認するカットがあります。
その採点は「979」・・・私がMITの数学の問題をとけると思えませんので、ローザ教授は私をギャンブル投資会社に誘うことはなさそうです。
カードカウンティングでカジノで勝てるか
基本的にカジノが勝つように出来ている
Photo by Free Walking Tour Salzburg on Unsplash
上のルーレットには「0」があります。「0」になればディラーが勝つのかと思ったのですが、「0」に賭けることも出来るようです。
基本的にどのようなベットをしても控除率が一定になるようオッズが調整されている。アメリカンスタイルの場合は 5.3% (2/38)、ヨーロピアンスタイルの場合は 2.7% (1/37)が確率統計的にカジノの収益になる。
(Wikipedhia「ルーレット・特徴」より)
5.3% や2.7%なら・・・と思うかも知れませんが、最初に勝った人は心理学的にリスクを回避する傾向があり、負けている人はリスクを負っても挽回しようとしますから、最後は大きな負けになりやすくなります。
ブラックジャックは必勝法が数学的に証明されている
NHKの「アナザーストーリーズ」でその手法が紹介されていました。
ブラックジャック必勝法とは
ブラックジャックは、カードの合計が高いほうが勝ちます。
ただし、「21」を超えるとその時点で敗者になります。
必勝法は、カードが配られて公開されるため、残りカードから次に配られるカードを予測することで、掛け金を増減させます。
ブラックジャック必勝法の戦術は次のようなものです。
- 配られるカードに数字の大きいものが多く残っていれば、プレイヤーが有利。
ディーラーは17以上になるまでカードを引かなければならず、バーストしやすい。
プレイヤーは16以下でもカードを引かなくてもよい。
ブラックジャックになりやすい。 - その逆に数字の小さいカード多く残っていれば、ディーラーが有利になる。
- ブラックジャックは、6セット・312枚の有限なカードでゲームを行う。公開されたカードを数えれば、どのような割合でカードが山に残っているかが分かる。
カードカウンティングの手法
『レインマン』ではレイモンドが全てのカードを記憶しましたが、普通の人には出来ません。そこで編み出されたのが、「Card counting - Wikipedia」という手法です。YouTube にも多数の動画があり、トレーニングコースもあります。
カード・カウンティングの手法は、名前の通りカードを数えます。何も考えず、1から13までの種類ごとに数えれば残っているカードは正確に把握できますが、普通の人間には無理です。そこでカードを3種類に分類してカウントします。
- 大:10~A 〈+1〉 をカウント
- 中: 7~ 9 〈±0〉
- 小: 2~ 6 〈+1〉
「アナザーストーリーズ」では〈+12〉でも、残り枚数によって〈10~A〉の含まれる割合が大きく異ることが紹介されていました。
残り200枚のときは、106枚(53%)がハイカードであり、残り20枚のときは16枚(80%)がハイカードだと言います。
「Card counting - Wikipedia」にはいろんなカード・カウントの戦略が紹介されています。
カードカウンティングが難しい理由
- 同時に複数のプレイヤーが賭けますから、場のカード全てをカウントしなかればなりません。
- それに騒音もあり、ドリンクを勧められたり、話しかけられたり、長時間緊張した状態でカウントするのは至難の技です。
ギャンブル投資会社では集中力を保つ訓練をしていました。それと、グループで手分けしてカウントしていましたから、かなり高い精度でカジノに勝てたようです。
これを個人で出来るかというと、かなり難しいとは思いますが、一度はやってみたい気はします。
カジノも対策をしている
「Card counting - Wikipedia」によると、カード・カウントは違法でありません。
カジノのあるイギリス、アメリカの連邦、州、地方の法律、マカオでも違法でありません。カジノはカード・カウントを禁止する権利がないという判例もあります。
それでは、カウンターや電卓を使って計算していいのかというと、マカオではカウントを支援する電子機器の使用は禁じられています。
カウントをする人をホテルに入れない
「アナザーストーリーズ」では、カジノのセキュリティがカード・カウンティングの手法を見抜き対策をする様子が語られます。
彼らの特徴からメンバーを見つけるようになります。
覆面エージェント「グリフィン調査会社(GriffinInvestigations)」が名簿を作ってホテルに配ったり、カジノに入れないようにしていました。
客を選ぶ権利があるということでしょう。
カウントをする人と一般の客を見分ける方法
- 監視カメラの画像を入手したデータベースと照合します。
- カード・カウント戦略の特徴がある人物をマーク。少額の賭け金を続けて、急に大きく賭けるのはカウントをしている可能性が高い。
- チップには RFID が埋め込まれ、自動的に賭け金額を追跡しています。
- カードをシャッフルして最初の状態にリセットすれば、カウントする意味がなくなりますが、それを多用すれば他のお客様が楽しめなってしまいます。
日々、カード・カウンターとカジノの闘いは続いているようです。一度、ラスベガスのカジノを覗いて、どんな雰囲気なのか味わってみたい気もします。
終わりに
NHK BSP『アナザーストーリーズ 運命の分岐点「ラスベガスVS.MITの天才 全米を騒然とさせた頭脳戦」』を見て、ブラックジャック必勝法があることを知り、カード・カウンティングについて調べてみました。
サイコロのよる博打、宝くじなど純粋なギャンブルは技術も知識も関係なく、運だけの平等なものです。競馬、競輪、競艇、オートレースなどは過去のデータとオッズから掛け金を決めるというスキルを発揮する楽しみがあります。
麻雀は次々と確率が変化するベイズ推定と他メンバーとの心理戦を楽しむ。
ブラックジャックは一度もやったことがなかったのですが、カード・カウンティングを知って興味が湧きました。
自然界、社会には多くの見えない法則が働いています。それを知って行動するか、知らずに行動するかでは、大きな差が生まれるんですね。
勉強になりました。
*1:陰性の結果が出たときは、実際にウイルスがいない確率は高くなります。