「里帰りカップ資料館」はこの建物の地下です。
目次
「里帰りカップ」とは
月曜日の午後に外せない用事があるものですから、片づけなくてなならない仕事をするために休日出勤。用件も午前中に終り、時間が出来たことから「里帰りカップ資料館」に行き、写真を撮影してきました。
ここは前から紹介したかったのですが、土日しか開いていなくて、行きそびれていたのです。
「里帰りカップ資料館」とは、自家焙煎珈琲と紅茶の店「麻生珈琲店」と珈琲販売をしている麻生洋央さんが収集したコーヒーカップを展示したミュージアムです。
それで、「里帰り」とは何なのか。
磁器は中国で生まれ、「景徳鎮」が有名です。日本では、豊臣秀吉の朝鮮から陶工を連れてきたことから「有田」が磁器の産地になります。ヨーロッパでは磁器を作る技術がありませんでした。中国が内乱で貿易が出来なかったころ、東インド会社によってさかんに日本の磁器がヨーロッパに輸出されました。
そのコーヒーカップを麻生さんが収集して、展示しています。だから「里帰り」なのです。
麻生さんが説明に使った資料。マイセンで磁器が作られるのは日本のずっと後になってからというのが分かります。
入館料はコーヒーとケーキがついて800円
営業は土日だけです。注意してください。
入館料はコーヒーとケーキがついて800円です。
このカップも麻生さんが収集したもので、コーヒーももちろん麻生焙煎です。
写真撮影OK。ブログ掲載もOK。
コレクターの麻生洋央さん
陶器と磁器の違いから説明を始める麻生さん。「もう、いろんなところに顔がでちゃったから」とブログ掲載を快諾していただきました。
私が最初の入館者。その後に津田沼からのご夫婦いらっしゃって、三人でコーヒーとケーキをいただきながら、お話しを伺いました。
麻生さんの前にある金属のポットはトルココーヒーを入れるためのもの。最初はこれを使ってコーヒー豆を煮出して飲んでいたのです。
手前のカップには取っ手がついていません。日本で輸出が始まったころのカップには、まだ取っ手がついていなかったのです。
下の写真が輸出が始まった当時のカップです。取っ手がついていません。
下はトルココーヒーを入れるための道具です。
ヨーロッパの貴族は飲み物を飲むときは写真の右のような金属の皿で飲んでいました。
コーヒーはカップに入れますが、左のような皿に移し替えて飲んでいたのです。その証拠となる昔の絵画も見せていただきましたから、間違いないですね。
その皿が飲むためのものでなく、カップを置くものに変化していきます。この皿にはカップを置くためのくぼみがありません。
麻生さんには、「まぼろしの珈琲―サリサリコーヒー・ハロハロライフ 」という著作もあります。
麻生さんの説明が終ったあと、麻生さんが出演したテレビ番組を見せていただきました。これは、2016/12/22に放送された「極上!お宝サロン|BSジャパン・里帰りカップ&ソーサー コレクター(麻生さん)」を録画したもので、25分くらい。石坂浩二さんと話ながらコレクションが紹介されます。
本八幡にオープンした当時に聞いた話
「里帰りカップ資料館」は2003年に本八幡にオープンしたのですが、その後、現在の場所に移転しています。その当時聞いた話。
麻生さんがコーヒーとの出会ったのは中学3年のときです。
ブラジル帰りの人から5キロほどのコーヒー生豆を貰ったお父さんが、「お前、これを煎って挽いてみろ」と言われます。
道具もない時代です。金網のあられ煎りで煎ってビール瓶で押しつぶす。そうやって粗挽きにします。その粉をたっぷり使ってコーヒーを入れましたら、これが美味くてお父さんから褒められたんだそうです。
貰った生豆は飲んでなくなってしまいます。しかし、買いたくてもどこにも売っていません。麻生さんは、横浜ならあるかも知れないと思って行くんですが、コーヒー豆はなくて神戸へ行きます。
そこで、船から降ろしているコーヒー豆の麻袋を見つけ、落ちていた竹の棒で突くと豆がポロポロと・・・。夢中で突いて集めていると、周りに人が取り囲んでいて、襟首をつかまれてしまいますが、子供だからと説教で許して貰ったそうです。
千葉の市川から来たと言ってもなかなか信じて貰えませんでしたが、倉庫番のおじさんは落ちている豆を集めてくれたんだそうです。やっと担いで帰ったので10キロはあったのではないかと。
大学を卒業した後はサラリーマンになりますが、半年後には退社して「麻生珈琲店」を
開きます。ぶいぶんと行動的な人ですね。
その後、「昔の人はどんなコーヒーの飲み方をしていたのか」と興味を持ってカップを集めはじめたんだそうです。
「里帰りカップ資料館」で撮影したカップ
ピントが合わなかったり・・・ほんと、撮影が下手で情けないです。iPhoneで撮影した方が良かったかも。
まとめ
市川にある「里帰りカップ資料館」に行って来ました。
数百年前に作られた見事な磁器。それがヨーロッパに輸出されて、貴族が使っていたものが、コレクターによって日本に戻って来たものです。
この磁器の前でいろんな出来事が起こり時間が過ぎていきますが、その色、形に変化はありません。何百年も経過しても変らない美しさには不思議な魅力があります。有田や伊万里を旅して、磁器を見て歩けないかと思ったことがありますが、その古い磁器のコーヒーカップを市川で見ることが出来ます。
都内からでも、江戸川を越せば市川です。散歩がてらに是非来てください。
アクセス
営業は土日だけですので、注意してください。
JR市川駅から800メートル、徒歩15分くらい。京成線・市川真間駅からなら300メートル、5分くらいでしょうか。
JR総武線の南側にある「麻生珈琲店」。里帰りカップが展示してあってアンティークな雰囲気のお店です。