シロッコ手習鑑

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シロッコ手習鑑

高卒シニアなのに臨床心理士になりたいと思い立って放送大学生になりました。

文章を読んでいるとき、書いているとき、人の心はどう動いているか・「読む心・書く心」

読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)

読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)

この本はどんな本か?

この本は北大路書房が出版している「心理学ジュニアライブラリ」の中の一冊です。北大路書房は心理学を中心とする専門学術書を出版している会社。心理学ジュニアライブラリは中高生に向けて、心理学とは何か、じょうずな勉強法、やる気はどこから来るか、考える心のしくみなど「人の心のしくみ」を解説するシリーズです。

そして、この「読む心・書く心」の狙いは、文章を読んでいるとき、書いているときに人の心はどう動いているかを解説して、文章の読解力、作文能力を向上させようとするものです。

この本を書いたのはどんな人?

著者は秋田喜代美さんという女性の方なのですが、 その経歴が少し変っています。

大阪府生まれで、御茶ノ水女子大付属中学から同高校、東京大学文学部、銀行員、専業主婦を経て、東京大学教育学部、同大学院の博士課程を修了しているのです。結婚して出産してみてから、「それだけが私の生涯の生きがいになるのだろうか」と悩み、再び東京大学教育学部、同大学院で学びました。

略歴は「人生何度でもやり直しがきくし、学ぼうと思った時がその人にとっての学びの最適期と思っています」という文で結ばれています。

どんな内容が書かれているのか

著者が「読者に伝えたいことは何か」そんなことから書き始められています。読者に伝えたいこと、それは「読むこと」、「書くこと」のしくみがどうなっているのかを知って欲しいということです。ひとつひとつの文字が連結されて単語として理解され、単語と単語が連結されて文になり、それが連結されて文章になる。文を読むのは推測をしながら読んでいます。文章は推論しながら読んでいます。それは、一人一人がもっている辞書を引きながら意味を解読しているのです。だから、読むのは情報を受け取るだけでなく対面交通だ、そういうことが書かれています。

書くことについては「文章を書く過程」として「Hayes(1996)の文章産出モデル」が紹介されています。書く動機があって文章を書く訳ですが、それには過去の記憶をひっぱりだしたり、どう書くか計画したり、今まで書いた文章との関連を考えたり、推敲したり、いろんな状態をグルグルと行ったり来たりしながら書いている。そんなことの説明です。(この本に描かれている図「文章を書く過程」はリンク先の「Hayes(1996)の文章産出モデル」とは若干違います)

この本を読めば文章を書けるようになるか

文章を読んで理解するしくみはかなり詳しく書かれています。一方、文章を書いているときのしくみはそれほど深くは解説されていません。文章を書くのにはいろんな文を構成する技術、文章を構成する技術があり、その技術の話となるとまた大きな分野となるからなのでしょう。

良い、面白い文章を書ける人と書けない人との違いは何なのか、それには触れていません。著者の持っている書くための技術、話題に結び付く記憶の量と質、そのへんがきめ手になるのだろうと思います。

文章の読解では「分析して要約を書く」そういうレベルまで要求し、文章を書くことについては構成、書き出しについて、書くための作文メモの紹介もしています。

文章の書き方、本の読み方を解説した本はたくさんありますが、心の動きに注目した本はほとんどありません。ジュニア向けの本ということですが、中味はかなり濃いです。文章を読解する力、文章を書く力のアップに役立つ本だと思います。

  • アマゾンにとても参考になるレビューがありましたのでリンクを張っておきます。


    Amazon.co.jp: 読む心・書く心―文章の心理学入門 (心理学ジュニアライブラリ)の 空 海陸さんのレビュー