シロッコの青空ぶろぐ

高卒シニアが低学歴コンプレックス脱出のため、放送大学の人間と文化コースで学んでいます。通信制大学で学ぼうとする人を応援したい。学んで成功する人が増えれば、私のやる気も燃えるはず。

大学へ行かなかったから教養人になれた・佐藤忠男さんの「いかに学ぶべきか―新しい独学の思想と方法」

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(「ぱくたそ」さんより)

学ぶとはどういうことか?

学ぶとはどういうことでしょう? goo辞書を調べると次のように書かれています。

dictionary.goo.ne.jp

私が考えている「学ぶ」はもう少し分かりやすくて簡単。「学ぶ」とは今まで分からなかったことが分かるように、出来なかったことが出来るようになることです。

文字を書けるようになる、物を数えられるようになる、計算が、逆上がりが出来るように、本が読めるように、自転車に乗れるようになることです。

今まで出来なかったことが出来るようになれば嬉しいですよね。PCのプログラムが書けるようになるのは嬉しいものです。私がWindowsで充分用が足りたのにLinuxを使ってみたり、実用度はそれほど高くなさそうなのにSchemeを学習したり、無理してWindowsでHaskellを使ったりしてきたのも、出来ないことが出来るようになる嬉しさが大きな原因だったと思います。

子どもは長靴を手に入れるとワザと水溜りを歩いたりします。私は長靴を手に入れた子どものようだったのですね。

 

この本はどんな本なのか?

この本は佐藤忠男さんが「学ぶ」ことについての考え方書いたものです。佐藤忠男さんが「学ぶ」ことについて書くのは独特の意味があります。それは彼に高い学歴がある訳ではなく、「独学の評論家」と呼ばれているからです。著作は100冊以上。それも、アマゾンで古い著作を検索してみると今でも高く評価されたレビューを見つけることが出来ます。

そんな佐藤さんはどのようにして学んだのでしょう?「学ぶ」ことについてどう考えているのでしょうか。

  • 独学のすすめ 独学は楽しいということが書かれています。専門分野になると教えてくれる人がいませんから、自分で研究するしかありません。それは楽しいことだと言います。

    独学が苦しいのは文部省の作った検定試験をパスしようとするから。文部省が決めた教科を、文部省の指示で書かれた教科書を使って勉強しようとするから。好きなことを好きな順序で学べば良いと言います。難しくて理解できなかったら、そこから基礎にレベルを落とせば良いのです。

  • 成績で人間は計れない 佐藤さんは地方の学歴のない労働者だから面白い評論を書くと思われていました。ところが実際は違います。評論を読むと分かるのですが、哲学や精神分析など膨大な知識を使って考察しないと書けないことがいっぱいあるのです。
    佐藤さんは、子どもの頃は古本屋に入りびたって娯楽小説を読みふけっていました。国鉄に入ると無料で国鉄を利用できますから、休みになると新潟から神田の古本屋へ行って本を購入していました。佐藤さんは興味をもったことを自分で積み重ねて学習しました。だから、ユニークな教養を持てたと言います。
  • 小学卒でも微分積分が出来たという例が紹介されています。戦争末期に陸軍がにわかづくりに船舶兵を養成しました。必要に迫られると小学校や中学校しか出てない兵隊でも難しい計算が出来たのだそうです。

  •  学校では点数のつけやすいことを教えると言います。大学に行かなかったかから教養人になれたと言います。 
  • 映画から学ぶ話が一番面白い。戦後、アメリカの映画を見て、鬼畜英米と思っていたのが全然違う訳です。それから、「小鹿物語」や「オックス・ボー事件」(邦題:牛泥棒)を見て、アメリカの「一人前の男を作る」という価値観を語るのですが、このへんは佐藤さんの独壇場でしょうか。
  • 私の作る学問。柳田國男は学者ではありませんが、「日本人とは何か」と探究を続けて日本民俗学の開拓者と呼ばれるようになりました。佐藤忠男さんも同じような存在で、映画には理想が繁栄されると考えて、そこからいろんなことを導きだしています。

    これから研究しようとしている「映画学」の手法が語られ、映画思想史はアマチュアの学問でなければならない等、抱負を述べて本は終ります。

  • (注)1973年の古い本です。
子鹿物語 [DVD]

子鹿物語 [DVD]

 

 

牛泥棒 [DVD]

牛泥棒 [DVD]

 

 文部省の学歴システムと独学

この本は独学のメリットについて書かれたものです。佐藤忠男さんは「受験勉強などしないで良かった」、「大学へ行かなかったから教養人になれた」と言います。しかし、誰でも受験勉強をしないで大学にも行かず、好きな本を読めばいいのでしょうか。

たしかに、「オレは中卒だ」という有名アルファブロガーもいますし、プロ棋士になるには高校や大学を出てから始めては遅く、中学生のうちからプロになったりします。金メダルを取るようなフィギアスケートの選手も受験勉強をする間も惜しんで練習するでしょう。

けれども、私のような凡人が大成するのには無理があるのも事実です。文部省の高学歴の人たちが作った学歴システムの社会では特別な能力のない凡人はなかなか活躍する機会が少ないのです。

ただ、高卒の事務員にもかかわらず「つくるコンピュータ」を読んでみたり、ニーモニックの表を見てハンドアセンブルするのは楽しいものでした。映画の道に進みたいと思い立ち、毎日映画の本を読む生活。これらは誰からも押し付けられない、本来の学ぶこと、知る喜びでした。分からなかったことが分かるようになり、出来なかったことが出来るようになったのです。

2012年からこのブログを始め、昨年末から本格的に更新しています。これも独学、先人たちの本を読みながら続けていければよいと考えています。

 

 以下の記事がホットエントリーに入っているようです。主張していることは佐藤忠男さんとほぼ同じだと思います。

mirai.doda.jp