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映画紹介の「中吊り大賞」
NHKオンデマンド「100分de名著」を見始めたことから、伊集院光さんのファンになり、『伊集院光の今週末この映画を借りて観ようvol.1』 を見つけて読みました
この番組について調べると、Youtube やニコニコ動画に音声が残されているのを知りました。ゲスト名と作品名で検索するとほとんどの番組が見つかります。
この番組を聴いて、観たいと思った映画が何本かありました。
その中でも、インパクトがあったり、紹介する仕方が良かったなど、魅力的なトークを紹介します。私もブログを書きますから、どんな紹介なら読んでもらえるのか、興味があるからです。「噂の!東京マガジン・今週の中吊り大賞」みたいなもので、映画を観ていないけれどもどの映画紹介が面白かったか、そういう3本です。
- 中島美嘉『4分間のピアニスト』
- LiLiCo『歓びを歌にのせて』
- 柴田理恵『兵隊やくざ』
紹介のどこが素晴らしかったのか、なぜ観たいと思ったのか、それを書いて行きます。
中島美嘉『4分間のピアニスト』
中島美嘉さんは、ジャケットが気に入って、DVDを購入したそうです。
アマゾンにこんな画像がありました。
ジャケットが素晴らしい。映画を観たくなります!
『4分間のピアニスト』というタイトル。黒いドレスの女性が手錠をはめられ、ピアノを弾いている。なんとショッキングな画像でしょう。靴も履かず、はだしです。
画像の訴えるパワーが絶大で、どうして、こんな状況になったのか、知りたくてしょうがありません。
刑務所でピアノをひく話だそうで、中島美嘉さんのここ見てポイントは次の三つでした。
- この子がピアノをひけるの? とびっくりする。
- 手錠をはめたままピアノを弾く。カッコよすぎ。
- 『4分間のピアニスト』というタイトルはどういうことなのか。それが最後に分かる。
そして、中島美嘉さんの曲「僕が死のうと思ったのは」が紹介されました。
この曲を聴いて、中島美嘉さんが好きになりました。
歌詞の最後がとてもよかった。映画のジャケットも曲も、余計な説明はいらないと思います。
映画はドイツ・アカデミー賞8部門でノミネート。アマゾンの評価は分かれているけど、ジャケットからして観たくなる映画です。
LiLiCo『歓びを歌にのせて』
王様のブランチで映画を紹介しているというLiLiCoさんは、年間600本映画を見るといいます。
私は、テレビをほとんど見ないので、LiLiCoさんという名前は知っていますが、どんな活躍をしているのかわかりません。
日本人の母とスウェーデン人の父。ストックホルムの出身。子どものときはハーフということでイジメられた。18歳のときにアイドル歌手になりたくて来日。ビアガーデンで歌手デビュー、演歌歌手の付き人をしていたと言います。ホームレスの経験もあるとか。
ストックホルムでは母子家庭だったそうで、お母さんが働かないと生きていけない、弟が病気と大変な生活をされ、現実逃避に映画を観ていたそうです。
それをガハハと笑いながら話すLiLiCoさん。LiLiCoさんに感情移入して応援したくなってしまいます。
人生ベストワンがこの映画。年間600本見て、それと時々チェックしてもベストワンは変わらないといいます。
「音楽で人の心を開きたい」という夢を抱く人気指揮者ダニエル・ダレウスは、公演直後に心筋梗塞を起こし舞台で倒れ、一命は取り留めたが、それを機会に第一線から退いてしまう。病を押して彼が隠遁の地に選んだのは7歳のときに後にした故郷ノールランドの小村。酷い虐めにあった苦い思い出の地だ。
(「歓びを歌にのせて - Wikipedia」より)
LiLiCoさんのここ見てポイントは次の三つ。
- ガブリエラの歌と歌詞を感じて欲しい。
- ダニエルが雪の大地に裸足で出るという意味。
LiLiCoさんもスウェーデンに帰ったときは裸足になるそうです。故郷を感じて、日本で頑張る決意をする。それがLiLiCoさんとリンクするのだそうです。 - 季節とともに変わっていくダニエルの気持ち
ガブリエラの歌を探して聞いてみました。
とてもいい歌、LiLiCoさんが涙が止まらなくなったのが分かります。
2004年の米国アカデミー外国語映画賞の5本まで残りました。
自分の過去を晒すトークが魅力の入り口になっています。
映画をみたくなりました。
PS.アマゾンのレビューに★ひとつの人がいたので読んでみました。
作品は文句なく素晴らしい。映画館でも感動に震えた。
しかしDVDとしてはひどい商品。
本日この作品をワクワクして購入した。
しかし再生して、「?」 なんか音にイメージしていた迫力がない。
そう思ってメニューをみたら、なんと2.0ch音声だとー!
こういうレビュー好きです。
柴田理恵『兵隊やくざ』
柴田理恵さんは、池上彰さんがキャスターをしていたNHK「週刊こどもニュース」のお母さん役で知りました。
それ以来よくテレビに出演されていますから、柴田理恵さんには親近感があります。
柴田さんは富山県出身。それは知っていましたが、明治大学文学部で演劇を学んだのですね。
柴田さんは、ご夫婦ともにこの番組のファン。ひっかかるのがあるとDVDを買って見るそうで、そんなことを伊集院さんに話したことから、番組に出演することになったそうです。
柴田さん、役者さんが好きになるとその人の作品は全部みたくなるタイプ。市川雷蔵さんの100本以上の作品をみて、ライバルの勝新太郎さんを全部・・・と見て行くそうです。
その柴田さんが紹介するのが勝新太郎さん主演の『兵隊やくざ』。
1965年の映画。柴田さんは中学か高校のときに初めてみて、面白くてびっくりしたと。
『兵隊やくざ』は軍隊にやくざの用心棒をやっていた暴れん坊の勝新さんが入ってきます。そこにはインテリの上官・田村高廣さんがいて、その二人の友情ものがたりなのだそうです。
柴田理恵さんのここ見てポイントは次の三つ。
- チャーミングな勝新さん。
二等兵。可愛らしくて、乱暴だし、大暴れだし、むちゃくちゃ。
伊集院さんもお気に入り。UFOキャッチャーにあったら取りたいと。
役の魅力であり、勝新さんの魅力でもある。 - 結婚したい理想の男性・田村高廣さん。
一等兵。勝新さんの指導係を命じられる。リベラルで正義感があり、弱いものいじめをしない。
力が強くてグイグイ引っ張るタイプでなくても、腕力がなくても、本当の男らしさはそこじゃないか。 - 明るい戦争映画
本能のまま暴れまわる二等兵とインテリの一等兵の友情物語。
私の中に、この二人がいますよね。本能のまま暴れまわりたい。でも、それをリベラルと正義感の前頭葉で抑圧している。私個人の物語でもあるような。
役者としての柴田理恵さんが、勝新さんへどんな思いを持っているのか、それが分かってとても魅力的なトークでした。
柴田理恵さんは、照明の使い方が素晴らしいといいます。
田村高廣さんが演じた役の分析も素晴らしい。
まとめ
2012年4月から2016年9月まで、TBSで放送されたラジオ番組『伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!』をネットから探して聴きました。
これは映画紹介のお手本にすべきと思い、そこで紹介されている116本の映画のなかから、魅力的な三つの紹介を取り上げました。
映画評論家、映画監督などそうそうたるメンバーが紹介していますが、三つとも女性なのは偶然ではないと思います。理屈と完全な分析で映画をオススメされるより、女性的な情念をぶつけた表現の方が心に届くのです。
3本とも見ていない映画ですが、是非観たいと思いました。
ブログの お手本にすべきと心に命じます。