10月15日~16日と放送大学千葉学習センターで開かれた面接授業に参加してきました。一日に1時限(1時間25分)の授業が4本。それが二日間。かなりハードな授業です。
元TBSプロデューサー・來住尚彦さんの面接授業はどんなものなのか。期待と不安をもって参加しました。
來住さんは熱い人でした。來住さんの放送大学面接授業はめちゃくちゃオススメです。
目次
講師の來住尚彦(きし・なおひこ)さんてどんな人?
15日。第2講義室に入ると、プレゼンをするためのノートPCに向かっているスーツを着ている真面目そうな人がいました。
「この人が來住尚彦さん、なのか・・・」
開いている席は一番前と後ろの方。一番前に座ってみたものの、近すぎるので後の席に移動しました。
10:00 來住尚彦さん、さっそうと登場。
あれ、違った。左前のテーブルでノートPCに向かっているのはプレゼン用のPCを操作するスタッフだったのです。下のリンク先の写真の方で、およそ放送大学というクソ真面目なところには似合わないファッション雑誌に登場するようなカッコイイ方なんです。
助手の方が名前を読み上げて出席の確認。SNSで知り合った人もこの面接授業を希望していたので、リアルで会えるかも知れないと期待していたのですが、名前は最後まで読み上がられませんでした。抽選に外れたようです。
それと、2、3人の欠席者がいるようです。急用かとは思いますが、抽選に外れた人のことを考えると、なんとか代りに参加する方法はないものかと残念でした。
1時限目は自分がどんな人なのか、生い立ちや手がけて来た仕事の話。
- アイドルになりたくて、「スター誕生」に出場したことがある。
- パイロットになりたいと思ったが、目が悪くてあきらめる。
- 医者になろうとも思ったが、早稲田理工へ。
- 大手証券会社に合格したが、「地味じゃない。マスコミがいいんじゃない」と言われる。
- ある新聞社に合格して父に話すと、「新聞と言えば読売か朝日だろう。」と言われる。
- TBSを受ける。
- 最初は録音エンジニアをしていた。大晦日のレコード大賞が終ったあとケーブルを巻いていて、「こんな仕事は嫌だ」と思って上司に言うと、「少しまってろ」と言われ、新しく始めるラジオの音楽番組をまかされた。
- ラジオの音楽番組は「ジャニーズ事務所へ行ってジャニーさんの話を聞いてきてよ」と言われ、ジャニーさんにタレントさんを紹介される。
- その後、ライブ空間「赤坂BLITZ」立上げの話があった。
「メディアには数千人を数万人にする力はあるが、お客さんを0から1000人にするノウハウも力もない」と反対していたら、上司から「問題点が分かっているなら、解決すればいい。お前は賛成に回れ」と言われ、支配人としてコンサートの企画・制作に携わる。 - 「赤坂Sacas」を立上げて、イベントなどの企画立案。
來住さんは引き出しがいくらでもある人です。だから、話はすらすらといくらでも出てきます。そして、話し方も面白く加工しています。サービスしようと思ってのことか、芸能人の話が多かった。色んな有名人がいっぱい出てきて自慢しているようにも聞こえる。
「こんな軽い人なのか、もっと企画のことを聞きたかったのに・・・」とちょっとがっかりしましたが、2時限、3時限、4時限と進むとがっちりと中味の濃い話。
企画の実例と提案書を見て、「この人、ただものじゃない」と思ったのでした。
1時限目で強調していた企画に重要なことは次の二点。
- 雑多な情報を多く集める。電車の中吊り広告をよくみる。1日100件くらいインプット。
- アウトプットするときの集中力。夜、枕元にメモを置いて寝るが、アイディアがわくたびにメモするから一晩眠れない。
「3人に企画を発表してもらいます」
授業の進め方について説明があった。
「今日の4時限と明日の2時限は、『企画の立案の仕方』について講義し、残りの2時限は生徒3人に企画を発表してもらいます」
あわわ。講義の助手をしている方は、明日の授業の中で生まれて初めて私たちの前で企画をプレゼンする予定があり、夕べは一睡もしていないそうだ。こりゃ、指名されたら一晩眠れないぞ。
そしたら、何を企画する。会社まで20キロの自転車通勤をやろうとして、失敗したことがある。自転車通勤をするには日本の道路環境は悪すぎるからだ。それをソフト的、ハード的に改善する手法を提案できないか。そんなことを気に留めながら講義を聞くことになりました。
- ライブ空間「赤坂BLITZ」の立ち上げ、運営の話
- 「赤坂Sacas」を立上げ、イベントの企画立案
V6の岡田さんが黒田官兵衛を演じたときは自分以外の人が黒田官兵衛を演じるとどうなるかとイメージして演じたのだそうです。
來住さんは、ディズニーならどうするか、ジャニーさんならどうするかをイメージして企画したそうです。ディズニー、ジャニーさんを深く知らないと出来ないことです。 - ミスキャンパスによる着物ファッションショー
- 海浜幕張の活性化提案
- 銚子の活性化のときに話したこと
・1分でも長くいてもらう
・再び来てもらう
・友人を連れてきてもらう
・なんでもいいから買ってもらう
ここまでは誰も文句のつけようがない。じゃ、何をするか。 - 農業甲子園の企画と実行・農林水産省「目指せ!農業高校の甲子園」
- 「アートフェア東京」のプロデュース
來住さんは、頭の回転が速い方で、話の引き出しはいくらでもありますから、面白い話がいくらでも出てきます。それに話す材料の選択、順序もしっかりと練られています。ですから、1時間25分というかなり長い時間を淀みなく話続けることが出来ます。そして、それが魅力のある話になっているのです。聞いていても楽しかったです。
1日目が終わる頃になって、明日の企画を発表する話になった。
「明日、発表したい人!」
なんと、3人の予定なのに6人が挙手。
「うーん、それでは6人全員にやってもらいましょう」
私は、挙手をするでもなく、一晩ゆっくり眠る方を選択してしまいました。ヘタレめ。
6人の企画発表は面白かった
さて、6人の企画発表はどのあたりまで書けばよいのか。プライバシーの問題があるのであまり詳しくは書かないことにします。
- 海外から千葉県に来た人は成田からTDLへ行く人がほとんど。せっかく幕張に泊まる人が多いのだから、サイクリングで観光をして欲しいという企画。
- 船橋の14福神を回って御朱印を集めてもらう企画
- マネタイズの苦手なイラストレータをサポートするシステムの企画
- 七夕による活性化の企画
- 成田の野菜販売をサポートする企画
- NEW寺子屋の企画
発表者に質問したり、ダメ出しをしたり。最後に來住さんがコメントするという進め方でした。
遠く長野から来た人、文京学習センター所属の人、高校時代にははがき職人で來住さんのラジオ番組に毎回はがきを出していた人などもいて、來住さんの人気がうかがえます。
私のコメントは次のとおり。
- 14福神を回る企画は、回る途中の街が楽しくないとダメなのでは?
- NEW寺子屋はボーイ・スカウトに目的が似ているのではないか。それから何か取り入れられないか。
とか言おうかと思ったが、答えが分かっても挙手しない子供だった性格がいまだに治らなくて、無言でした。挙手をしたけれどタイミングが悪くて、指名されなかったり・・・Orz
14福神の問題はしびれを切らした來住さんが、私が言おうか言うまいか悩んでいたコメントと同じようなことを話してました。言っては悪いかな・・・と遠慮してしまう私の悪いクセがまた出た。
最後は由紀さおりさんが幼稚園で童謡を歌うイベントの話
東日本大震災。由紀さおりさんが故郷を壊されてしまった人の前で「ふるさと」を歌うかどうか迷った挙句歌うことになり、涙の大合唱になった話。
幼稚園で「大きな古時計」で父をなくたことを主出したのか母親が泣きだし、みんな泣き出した話。その話を子供が大きくなったとき思い出すかもしれない。
そんな力が童謡にはあると話して、由紀さおりさんが歌う「大きな古時計」を聞いて授業は終った。
「仲間の誕生パーティでも、順序や演出でまったく違うものになる」
來住さんはスタッフにいつもそう言っているそうです。
前振りの話の匠さ、演出の見事さもあって、涙がボロボロでした。
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いつも自分を演出していて鎧を着ていると言う來住さん。
「疲れません?」と言われて「疲れます」。
若いとき自分もそんなことを言っていたのを思い出しました。來住さんは永遠の少年なのかも知れません。
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