放送大学図書館で面白そうな本を見つけた
もう、文章読本は読まなくていいや、と考えていたのですが、放送大学図書館の書架で面白そうな本を見つけました。
「こうすればわかりやすい表現になる―認知表現学への招待」。
普通の文章読本は、こう書けば分かりやすくなります、読んでもらいやすくなりますという視点で書いてあります。この本はさらに一歩踏み込んで、表現するときには頭の中では何が起こっているのかが書いてありました。
著者は海保博之教授。認知心理学の学者です。認知についての専門の知見を豊富に持っていますから、それが生かされているのです。
早速、アマゾンから購入して読みました。図書館から借りてもいいんですが、線を引いたり、書き込みをしながら読むのがクセになって、そうしないと読んだ気がしなくなってしまいました。
色んな分かり易くする方法が書かれている本です。ブログを書くときは注意した方がいいな、と思ったことがあったのでメモしておきます。
感情をはっきりさせれば届きやすくなる
このネタなら面白いと思って貰えるんじゃないか、そう考えて、記事を書いてきました。でも、その思惑は外れることが多くて、以外な記事がヒットしたりします。一人よがりが原因だったのかも知れません。
それが改善されるのではないか、と気になったのがこんなところです。
表現の発想の根本には、喜怒哀楽のような感情、言いたい、伝えたいという欲求、いわば情意の世界がなければならない。ここのところが枯れてしまっているときの表現は、それがどれほどわかりやすい表現であっても、相手の心を動かすことは、まずない。逆に言うと、ここが強烈であれば、多少の表現のまずさは、相手の方で懸命におぎなってもらえる。(p52)
表現しようとするエネルギーは感情から生まれる。
受け手が、表現する人と「文化」を共有するなら受け手は理屈ぬきで納得する。 (p57)
そう言えば、表現の発想の根本にある感情を確認していませんでした。
そこで、この記事を書き始めた動機をしっかりと見据えると、「今まで見たことない文章読本見つけたよ。面白いよ。役に立つよ。みんなも読むといいよ」という思いでした。
そのことをしっかりと自覚する。そうすれば、内容も伝わるんじゃないか、そう思ったのでした。
句点を適切に入れれば届きやすくなるんじゃないか
身に着いた文章作法の本と言えば「日本語の作文技術」が最初でした。 日本語は述語が中心の文章であること、句読点の打ち方については、この本で学びました。
その後は、 あまり意識しないで句点を打って来たように思います。
ところが、この本を読んで考えが変りました。
記憶には短期記憶と長期記憶があります。読んで理解した文章は短期記憶で処理され、長期記憶へ蓄えようとします。
- 短期記憶⇒長期記憶
短期記憶の情報の量は、7±2(5から9まで)程度と言われていますから、長くて難解な情報は脳が区切(チャンク化)っているのです。
d 博之正雄敏郎重雄昭三国弘武雄
e IBMNECVICTORSONY
(p25)
博之・正雄・敏郎・重雄・昭三・国弘・武雄、IBM・NEC・VICTOR・SONYと区切ることが出来れば理解が簡単です。
そこで、句読点を入れる、漢字とかなを適当に混ぜる方法など、分かりやすくする方法が紹介されています。
この本は、まず、頭の中で起こっているモデル紹介され、それをどのようにすれば表現が分かりやすくなるのか解説されるのです。
こんな文章作法の本は初めて、この本もとても分かり安かったです。
他にも、分かりたいと思わせるにはどうすればいいのか、つまり、どういう記事が読みたいと思われるのか、それにはどういう工夫をすれば良いのかが書かれています。
とってもオススメな本なのですが、残念なことに絶版になっています。
目次はこんな感じ
プロローグ―わかりにくい表現さまざま
1章 人間は情報処理をするーー認知表現学その1
2章 表現するとはーー認知表現学の基礎その2
1節 なんのために表現するのか
2節 表現のさまざま
3章 表現するまでに頭の中で起こること ーー認知表現学の基礎その3
1節 構想を具体化する
2節 構想を表現の世界へ変換する
3節 すぐれた表現ができるようになるために
4章 わかる、わからせる ーー認知表現学の基礎その4
1節 わかるのさまざま
2節 わかる
3節 わからせる
5章 わかりたいと思わせる ーー認知表現学の実践その1
1節 わかることは楽しい
2節 わかりたいと思わせる工夫
6章 メンタルモデルに配慮する ーー認知表現学の実践その2
1節 人は誰でも自分なりの世界を持つ
2節 メンタルモデルがもたらすもの
3節 メンタルモデルに配慮したわかりやすい表現
7章 わかってもらう方法を工夫する ーー認知表現学の実践その3
1節 内容と方法と熱意と
2節 表現効果を高める道具立て
3節 表現効果を確認する
まとめ
エピローグ――わかりやすい表現さまざま
さらに勉強してみたい方々へ
索 引