シロッコ手習鑑

高卒シニアが放送大学の心理と教育コースで学んでいます。人間と文化コースにも興味があります。学んだことを基に自分の考えを組み立てて伝えていきたい。

太田光さんお勧めの『ジャイアンツ』は壮大な映画だった・『伊集院光の今週末この映画を借りて観ようvol.1』

 目次

伊集院光さんの本が面白い

11月からNHKオンデマンドの「100分de名著」を見始めて、伊集院光さんの多才さに感服しました。

コメントが素晴らしいのです。台本による発言ものもあると思うのですが、不登校だったこと、落語家としての師匠と弟子など、自分の体験をベースにしたコメントには心を打つものがあり、すっかりファンになってしまいました。

そんな伊集院さんの本を見つけました。

伊集院光の今週末この映画を借りて観よう vol.1

伊集院光の今週末この映画を借りて観よう vol.1

 

TBSラジオで放送されていた『伊集院光の週末TSUTAYAに行ってこれ借りよう!』を本にしたものです。

番組は、ゲストがお勧めの映画についてトークをしようというものです。

まず、1回目「週末これ借りよう編」。

ゲストが伊集院さんにおススメの映画を紹介します。その映画のどこが素晴らしいのか、なるべくネタバレしないように「お勧めポイント」を三つ話すという番組です。

その収録が終ると、伊集院さんとアシスタントはDVDを借りて観ます。リスナーもDVDを借りてその映画を観る。

そして2回目「先週あれ見たよ編」

伊集院さんが見た映画の感想をゲストにぶつける訳です。ゲストがいうように素晴らしく感じることがほとんどですが、そうじゃないときもあって、なかなか大変な真剣勝負の番組。それが、2週間後に放送される訳です。

 

この番組でゲストが推薦した作品のリストが Wikipedia にありました。

推薦された映画が116本。そうそうたるゲストがそうそうたる映画の魅力を紹介しています。名前を聞いたことがあるけれど、まだ観ていない作品もいっぱいある魅力的なリスト。好きなゲストがオススメする映画は見たくなってしまいます!

『伊集院光の今週末この映画を借りて観よう vol.1』で映画を紹介ているゲストは次の8人。こんな映画をお勧めしています。

  1. 太田光    『ジャイアンツ』
  2. 宮藤官九郎  『マッキー』
  3. 石野卓球   『ブルーノ』
  4. 三村マサカズ 『ダイ・ハード』
  5. 山本伸也   『お早よう』
  6. 玉袋筋太郎  『ミッドナイトクロス』
  7. 崔洋一    『太陽の墓場』
  8. 戸田奈津子  『情婦』

タイミングが良いことに「午前十時の映画祭」で『ジャイアンツ』を上映しています。

これはチャンス! 

太田光さんが魅力を語った『ジャイアンツ』を大きなスクリーンで見られるのです。

さっそく、市川の「ニッケコルトンプラザ」の「TOHOシネマズ」で見てきました。

太田光さんと伊集院光さんが語った見どころを実際に観て、私はどう感じたのか、そのあたりを書きたいと思います。

太田光さんはどんだけ映画にうるさいか

この本の最初に登場するのが漫才コンビ爆笑問題の太田光さん。2回目のゲストであり、この番組には5回も登場しているという方です。

どんだけ映画にうるさい人なのか。まず、日本大学芸術学部演劇学科の出身です。

日本大学芸術学部演劇学科で田中裕二と知り合う。二人で1988年3月に爆笑問題を結成し現在に至る。

 (Wikipedia「太田光」より)

太田光さんはお笑いの仕事をしていますけれども、2本の映画の監督もしています。 

お笑いと映画。北野たけしさんのように才能あふれた方のようです。 

そんな太田光さんが1956年公開のアメリカ映画『ジャイアンツ』をオススメして、そのポイントについて話しているんです。

太田光さんの「『ジャイアンツ』お勧めポイント」

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 太田光さんが『ジャイアンツ』を勧めるポイントは次の三つです。

スケールが大きくて抜けのいい景色が堪能できる絵の強さ

ダイナミックな中に光る繊細さ

気になって仕方がないジェームズ・ディーンの違和感

 ❶については太田光さんが『バカヤロー!4 YOU! お前のことだよ』を撮ったときのカメラマン前田米造さんの話を紹介しています。

都内で工夫して絵を作っても、予算があって北海道あたりでロケをして、抜けのいいところで撮影したものには敵わない。技術もへったくれのなくて、画の強さには敵わないと。

その話を聞いて、木村大作監督を思い出しました。木村大作監督は日本を代表する名カメラマンですが、私の観た『劒岳 点の記』、『散り椿』どちらも、ほとんどセットを使わないロケだったはずです。ロケの方が画面に力が出るのですね。

それに対して、『伊集院光の今週末この映画を借りて観ようvol.2』では、山田太一さんが「木木下恵介監督は貧しい山村と山が舞台の姥捨て伝説を描いた『楢山節考』をオールセットで撮った」という話をしてました。セットだと証明を自由に使える。それが魅力のようです。

で、私が観た『ジャイアンツ』の印象はどうだったか。

古い映画ですから、解像度、色は現在の映画には敵いませんが、画のスケールの大きさには圧倒されます。

  • 広大な沙漠の牧場にある池。そこ徐々に牛が集まってきて、数百頭、数千頭になるオープニング。
  • 緑の大地を走る蒸気機関車、それと並んで走る馬。
  • 大きな吹き抜けのある豪華な屋敷。

『ジャイアンツ』はテキサスに59万エーカーも土地を持つベネディクト家の物語。ドラマの中心は家族の話です。それほど緊張感のあるシーンでなくても力を感じるのはなぜだろうと考えながらみていたのですが、それはベネディクト家のリビングの広さと豪華さが作り出しているのではないかと思いました。

途方もなく広いリビング。天井は普通の家なら三階分くらい高い。豪華な牧場の絵画がかけてある。そこに豪華なソファが離れて置かれている。

そういう場所でドラマが繰り広げられます。ドラマがなくても凄いリビングというか、ホールのようだなと思うほどで、絵になってしまうのです。

金持ちのスケールもけた違いで、新しく買った飛行機でパーティ会場に言ったり。テキサスの金持ちのスケールはどデカくて、それを観るだけで映画を楽しめるのです。

❷のダイナミックな中に光る繊細さ。家族のドラマですから描かれるのは内面の心なんです。

ロック・ハドソン演じるベネディクト家の当主は根っからの牧場主で考え方も保守的。それに対して、エリザベス・テイラーの妻は進歩的で理論派です。

子どもの育て方、子どもの進路にも意見は対立しますが、大きな危機にはならず、解決していきます。

映画全体で言えば、『おしん』のような長い家族のドラマの総集編のような映画で、絞られたテーマの話ではありません。

それでも飽きずに見てしまうのは、絵の力でもあります。

❸のジェームズ・ディーンの存在感は半端ありませんでした。

『ジャイアンツ』は昔、テレビで放送したのを観たことがあります。観たというより、テレビでやってるなと眺めた程度でしょうか。

当時は、ジェームズ・ディーンは知っているけれども、ロック・ハドソン、エリザベス・テイラーも知りませんでしたから、ジェームズ・ディーンの映画だと思ってました。それが違うのですね。脇役です。

ベネディクト家の雇われ牧童。ベネディクト家を牛耳っていたロック・ハドソンの姉から譲り受けた土地から、大金持ちになります。

そのスケールは半端ではありません。州に病院を寄付したり、名前のついた空港が作られたりします。しかし、ひねくれ者で孤独。そして、アル中です。

その酔っ払いぶりが哀れでぶざまです。それを演じているジェームズ・ディーンが見事です。

彼の演技をみて、むかし職場にいた上司を思い出してしました。酒を飲んで酔ってくると、目が座り、キリキリ歯ぎしりをして人が変わるんです。テレビに向かって怒鳴ったり、押し入れに向かってオシッコをしようとしたり、タクシーの運転手に絡んで運転の妨害をしたり・・・ある程度地位のある方でしたので困ったものでした。

なぜ、太田光さんは『ジャイアンツ』を選んだのか

評論家や映画監督が選ぶ映画のランキングだと「市民ケーン」や「2001年宇宙の旅」、「東京物語」が登場しますが、太田光さんは選びませんでした。

なるべく、伊集院光さんが見ていない映画、名前は聞いたことがあるけれどこんな映画だったのかそんな映画を紹介したのだと思います。

私だと、金子正次の「竜二」とか、山田洋二監督の「同胞」とかになるでしょうか。

『ジャイアンツ』は休憩なしで3時間21分もあります。それでも、飽きずに長い時間を引っ張るのはアメリカが持つスケールの大きさだと思いました。 

まとめ 

『伊集院光の今週末この映画を借りて観ようvol.1』を読んで、太田光さんが推薦している『ジャイアンツ』を観てきました。

映画を観るときのテーマは太田光さんの「お勧めポイント」を確認すること。

そして、太田光さんの言う『ジャイアンツ』の良さを感じることが出来ました。

太田光さん言われなかったら、『ジャイアンツ』の良さに気づけなかったかも知れません。何よりも『ジャイアンツ』を観る機会を作っていただいたことに感謝します。

ジェームズ・ディーンと言えば、『エデンの東』、『理由なき反抗 』。『ジャイアンツ』は見ないまま一生が終ってしまったと思うのです。

それにしても、『伊集院光の今週末この映画を借りて観ようvol.1』を読んで感じたのは、伊集院光さんの企画実行力が素晴らしいということでした 。

この番組は、伊集院さんが企画、スポンサー交渉、ゲスト選考などすべてにかかわって作られたものだそうです。
何が素晴らしいって、番組を作る人、番組を聴く人、スポンサーが全てウィンウィンの関係なことです。

  • 番組を作っている伊集院光さんがゲストの話を聴けて楽しく成長できる。
  • ゲストも好きな映画を楽しく話すことができる。
  • ラジオでその番組を聞いた人は情報を得て、映画を観たいと思うようになる。
    75回に勝新太郎さんの『兵隊やくざ』を紹介した柴田理恵さんなんか、ご主人がこの番組のファンで、お勧めされた映画を借りて観るのが楽しみだという話をしていました。
  • リスナーがDVDを借りれば、スポンサーのTSUTAYAも喜ぶというもの。

いいことだらけです。 

 『伊集院光の今週末この映画を借りて観ようvol.1』を読んで楽しかったので、『伊集院光の今週末この映画を借りて観よう vol.2』も発注して届いたところです。

読むのが楽しみです。

 表紙にゲストとお勧めする映画のタイトルが書かれているので、アマゾンの画像を貼り付けました。

伊集院光の今週末この映画を借りて観よう vol.2