目次
「午前十時の映画祭」の観たい映画について書きました。
今回はその続きです。
「午前十時の映画祭」の上映作品リストはこちら。
日の名残り
日の名残り コレクターズ・エディション [SPE BEST] [DVD]
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2015/12/25
- メディア: DVD
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4年前、SNSで教えて貰ってみた映画です。渋い映画でした。
時代は第一次世界大戦が終わって間もなくの頃。イギリスの貴族に仕える有能な執事の話です。有能な執事は自分の感情を押し殺します。主人に忠実であるためには自分の感情を表にだしてはいけないのです。
こんなシーンがありました。
主人が敵国となるドイツについて仲間と論争をしています。
主人は「お前はどう思うのか」と聞きます。
主人公の執事は何かと理由をつけて、決して自分の考えを言いません。そこが執事のプロたるところ。封建時代の武士の主君に対する忠義も、執事のように感情を押し殺していたに違いありません。
しかし、自分を押し殺す執事の性格は恋物語には不向きです。それゆえに悲しい物語が起こる。それがこの映画のテーマです。
DVDで観た感じでは、前半のシーンが何を意味するのか分からないようなところがありました。アマゾンのレビューにもこんながあります。
初見だと意味の分からないシーンがあるかも? 本作を見る前に、やはり小説を読んでおいたほうが良いように思います。
(カスタマーレビュー「好きな俳優ばかりでている。個人的には言うことなしの満足度」より)
DVDでちょっと見たくらいではカズオ・イシグロが構築した世界を詳細に理解することはできなかった気がします。
今では結末も知っています。その状態で再度大きな画面でみれば、執事スティーブンスの感情をもっと理解できるのではないか、そう期待しています。
プラトーン
劇場でみました。銀座の劇場だったような・・・。
第59回アカデミー賞 作品賞、第44回ゴールデングローブ賞 ドラマ部門作品賞受賞作品。
悲惨な戦争映画は何度もみたいとは思いません。
トップガン
DVDがあります。 映画をみたような気もします。
妻は航空機が好きでした。入間基地で開かれる航空ショーの日帰りツアーを見つけて一緒に見に行ったことがあります。
自宅に帰ってから、この「トップガン」を見ていました。
アマゾンのDVDレビューを見ると、吹き替えが酷いというのが多数。字幕で見れないのかと思ったら、字幕があっても吹き替えで見る人がいるんですね。
トム・クルーズが来日すると、決まって通訳として同席する映画字幕翻訳者の戸田奈津子さん。彼女が作品選定委員の一人ですから、彼女のオシがあって上映されることになったのかしれません。
カッコイイ映画です。
近松物語 4Kデジタル復元版
溝口健二監督は国際的に高い評価を受けた監督です。
ヴェネツィア国際映画祭では、「西鶴一代女」監督賞(1952年)、「雨月物語」が銀獅子賞・イタリア批評家賞(1953年)、「山椒大夫」が銀獅子賞(1954年)と3年連続受賞しています。
英国映画協会(BFI:British Film Institute)のオールタイムベストのトップ100では「雨月物語」と「山椒大夫」の2作品が選ばれています。
こんな有名な監督ですから、きっと面白い映画んんだろうと期待して、評価の高い「近松物語」をビデオを見始めたことがあります。
ところが、始まってまもなく、話が面白くなる前に観るのをやめてしまいました。有名な評論家が凄い、凄いと言っているのに自分にはその良さが分からない。そうすると、教養のないダメな人間なのではないかと不安になります。
でも、ビデオを見たのはずいぶんと昔の話です。テレビもブラウン管の小さなものでした。画質も音響もろくなものでもなくて、登場人物の情感もよく伝わってきませんでした。それに映画館のような緊張感もなくて、映画に集中できないのです。
大きなスクリーンならば名作の良さがわるのではないか、そう期待しています。
裸の島
新藤兼人監督の「裸の島」はセリフのない映画です。(音楽はあります)瀬戸内海の小さな島で自給自足の生活をする家族が描かれます。夫婦と二人の子ども。
島全体が小高い山の頂上まで段々畑。そこに隣の島から運んできた水をやります。水の入った桶がぶら下がった天秤棒をかついで段々畑をのぼる。言葉もなく黙々と働く姿が描かれます。
家事をこなして親の手伝いをする子どもたち。その子どもが急病になり・・・。
人が生きていく原点が描かれます。
人が生きていく原点を映像と音楽だけで描いた映画ですから、言葉、文化の違う海外でも高く評価されました。モスクワ国際映画祭グランプリなど、数々の国際映画祭を受賞しています。
新藤兼人監督は多くの脚本を書き、また自分で監督もしました。99歳のときに「一枚のハガキ」で、東京国際映画祭審査員特別賞、報知映画賞特別賞、キネマ旬報ベストテン1位を獲得しています。
この作品のシナリオは読んだことがありますが、大きなスクリーンで映像をみたことがありません。
人が生きていく原点がどう描かれているのか、観たいと思うのです。
狼たちの午後
銀行強盗をしたけれども失敗し、大量の警官隊に追い詰められて大勢の銀行員を人質に立てこもるという事件がありました。
それを中継するマスコミ。強盗の犯人はいつの間にかヒーローのようになって行きます。 たてこもる強盗を面白がる無責任な大衆。普段接している権力を嫌う私たちの心がそうさせるのでしょうか。
そんな世界を描いた映画です。
この映画はリアルタイムで劇場でみました。その当時はアル・パチーノ (出演)も、 シドニー・ルメット (監督)も分かってなかったですが、印象の深い映画でした。
日本でも、銀行強盗に失敗して行員を人質にして立てこもるという事件があり、「TATTOO<刺青>あり」という映画になりました。
「ビッグになってやる」と言いながらも、なにものにもなれない宇崎竜童さん演ずるチンピラはビッグな銀行強盗に手を染めることになります。何もしていないのに「ビッグになってやる」と思っていた若いときの自分のようです。
自分と同じようにダメで犯罪者になってしまう人の映画は価値があると思うのですが、もう、犯罪者を描いた映画が作られることはなさそうです。
「午前十時の映画祭9」とは関係ない話にそれてしまいましたが、「TATTOO<刺青>あり」も上映されるといいのに。