高倉健さんは日本人が求める理想の男性?
ブログ記事を書くために「高倉健」で検索すると、高倉健さんを称賛するコメントが沢山ヒットしました。
高倉健さんは2014年に亡くなっています。そのときの追悼コメントだったのです。
「敬語で話し、礼儀正しい、無口でストイック」(町山さん)、「不器用でうまく立ち回れない」(佐藤忠男さん)けれども、意志は強くやるべきことはやり遂げる。
ビートたけしさんが「夜叉」に出演するためにロケに行くと、花束を持って待っていた。
高倉健さんに関する美談のエピソードは数限りなくあります。
日本人が求める理想像は高倉健さんなのではないか。
映画評論家の佐藤忠男さんは、「映画は個人の、国家の自惚れ鏡である」と言っています。
映画のなかでいい恰好を見せるヒーローやヒロインは、ファンの憧れの化身であり、ファンはそのスクリーンの中にみずからとけ込んで しまいたいと願う。つまりは、ファンは、スクリーンのなかに理想化された自分自身を見て、それに惚れるのである。
(『映画をどう見るか』p8)
映画作家は、観客が憧れる主人公を作ります。そして、主人公はスクリーンの中で苦しさに耐え、怒りを爆発させ、それを観た観客が喝采を送ります。
高倉健さんか、三船敏郎さんか。
高倉健さんは 205 本の映画に出演しているそうです。*1
20世紀を代表する日本の男優をキネマ旬報がランキングした資料があります。
著名人選出日本男優 1位、読者選出日本男優 1位は 三船敏郎さんです。
三船さんは、幅広い役を演じました。
高倉健さんには大きな特徴があります。「ヤクザ映画」シリーズが三つあったのです。
そして、どの映画に出演しても、「敬語で話し、礼儀正しい、無口でストイック」(町山さん)、「不器用でうまく立ち回れない」(佐藤忠男さん)けれども、意志は強くやるべきことはやり遂げるのです。
「よっ、健さん!」。
キャラクターが立って観客が声援を送りたいのは高倉健さんではないでしょうか。
高倉健さんは私生活をベールで包み、「映画スター・高倉健」として生きました。
映画スターの高倉健さんはどのような役を演じてきたか。それを明らかにすれば日本人の理想像が見えるのではないかと思うのです。
私はヤクザを美化する「ヤクザ映画」と聞いただけで見る気がしなかったのですが、高倉健さんの映画を振り返ることで、日本人が求めた理想像を考えたいと思います。
予告
高倉健さんと言えば「仁侠映画」「ヤクザ映画」。そのシリーズが始まる切っ掛けとなったのが『人生劇場 飛車角』(1963年)です。
どんな映画で、仁侠映画の登場人物はどんな価値観で行動するのかを考えていきます。
この映画の主役は鶴田浩二さん。高倉健さんは主役ではなくて、いろいろと話します。
女性に告白もします。
意外な高倉健さんを楽しみましょう。