シロッコの青空ぶろぐ

高卒シニアが低学歴コンプレックス脱出のため、放送大学の人間と文化コースで学んでいます。通信制大学で学ぼうとする人を応援したい。学んで成功する人が増えれば、私のやる気も燃えるはず。

どうすれば書評や感想文が書けるのか、『論文の教室』が教えてくれること

新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

新版 論文の教室 レポートから卒論まで (NHKブックス)

 

目次

論点をどうやって見つけるか

前回は、論点を見つけるためにテキストを「木目に逆らって読む」という方法を紹介しました。

今回は『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』に紹介されている方法を紹介します。

私が書きたのは論文じゃない。そんな堅苦しくて面倒なもので、ブログに書評や感想を書きたいだけ。そうおっしゃるかも知れません。

しかし、最初は型にはまった方が楽だと思うのです。佐藤優さんは「国語ゼミ―AI時代を生き抜く集中講義」の中で、勉強は日本の武道などで用いられる用語である「守」・「破」・「離」の順番で進めていくのが重要だと言っています。

第一段階では師匠について型を「守る」。第二段階では、その型を自己流にひきつけて考えることで、自分に合った型を作る、つまり既存の型「破る」。そして、従来の型から自由になり、型から「離れ」て発展していく。

それでは、論文の書き方の「型」に習って、書評や感想文を書いていく方法を学びましょう。

本を読んで「問い」のヒントを探す

『論文の教室』は、論文には「問い」と「主張」と「論証」が必要だと言います。この型は今まで何度も学んできました。

『三省堂国語辞典』編集者の飯間浩明さんはこれを「クイズ文」と言っています。

しかし、論文、クイズ文のパターンで書こうにも、最初の「問い」が見つからないと手も足もでないのです。

その「問い」を見つける手法として、前回は「木目に逆らって読む」という方法を紹介しました。

『論文の教室』には本を読んで「問い」を探す方法が紹介されています。

問題をデッチあがるために基本資料をもう一度読む

まず、論文の「問い」を見つけるために新書を読む。次に論文の「ネタ」を探すためにもう一度読めと言います。そして、次の4点をチェックするのです。

【要チェック箇所】

(ⅰ)(メウロコ)なるほどそうだったのか!と「目から鱗」の箇所

(ⅱ)(ハゲドウ)そうだそうだ、私もかねがねそう思っとったんよ、という「激しく同意」の箇所

(ⅲ)(ナツイカ)なんか変だな。どうしてそう言えるわけ? という「納得いかない」箇所

(ⅳ)(ハゲハツ)なんじゃこれは、わしゃ絶対認めんけんね! という「激しく反発」の箇所

 P65

このどれか一つでも見つかったらしめたもの、これが「問い」を見つけるヒントになるといいます。

林真理子さんは何を「ネタ」にしたか

以前、林真理子さんの『20代に読みたい名作』について書きました。

林真理子さんはどんな本の紹介の仕方をしているか、それを真似したいと思って書いたのですが、全然ダメでした。 

そこで今回は、『論文の教室』で紹介している四つの要チェック箇所のどれをヒントにして「ネタ」を見つけたのか、それを検討してみます。

  • 「わたしが・棄てた・女 」遠藤 周作 
    赤線に行く代りに女工のミツを抱こうとする大学生の吉岡。高校生のときに読んで、嫌な小説だと思った。後味が悪く、今でも変わらない。
    「激しく反発」なんじゃこれは、わしゃ絶対認めんけんね!
  • 「老妓抄」 岡本かの子
    岡本かの子という生き方を称賛。若い男を金で囲う老いた芸者を支持。
    「激しく同意」という視点で書いている。
  • 「放浪記」 林芙美子
    これも「野心」に燃えた林芙美子の生き方に「激しく同意」
    「放浪記」を読み直してたくましさと素直さに驚いたと書いている。
    「なるほどなぁ、昔はこういう生き方があったのだとつくづく感心してしまう」
    ここは「目から鱗」でしょう。

  • 「鏡子の家」  三島由紀夫
    三島由紀夫のアフォリズムを称賛。「激しく同意」
    アフォリズムとは、人間の生き方などについて、言及した言葉。
    「彼女はどうすれば男が自分に飽きるか知っていた。けれども彼女は男を飽きさせることに少しも飽きていなかったのである」

こうして書いてみると、20代の人に読んでもらいたい名作というよりも、「ネタ」があって、面白い文章が書けそうな本を紹介していると考えるのが妥当です。「わたしが・棄てた・女 」がトップバッターなのも理解できます。