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映画の感想を書きたい人にお勧め・モルモット吉田 「映画評論・入門!」

映画評論・入門! (映画秘宝セレクション)

映画評論・入門! (映画秘宝セレクション)

 

目次

映画の感想を書きたい人にお勧め

映画の感想を書こうと思っても、思うように書けない。そんな経験はありませんか?

私はよくあります。

映画を見てその感想をブログ記事にしようとしても、何をどう書いていいか分からなくて書かずじまいのことがよくあります。それに、ようやくウンウン唸ってブログを書いても、なかなか注目されない・・・情けなくなってしまいます。

そんなとき、JR市川駅ショッピングセンターの本屋さんで、この本に出会いました。

 読んでみると、映画の感想を書くのに役に立たちそうでした。

内容を簡単に紹介すると、こんな感じ。

  • 第1章:映画評論とは何なのか
  • 第2章:モルモット吉田さんがどんなふうにして映画評論を書いているのか
  • 第3章~第6章は、 過去に映画評論はどんな役割を果たしたのかが描かれます。

この本のどんなところが面白かったのか、役立ちそうなのかを紹介します。

映画の感想は何を書けばいいのか

私が今までに書いてきた映画の感想は何が悪かったのでしょうか。

まず、気が付いたのが「映画評論・入門!」商品の説明にあったこの文章です。 

  • 映画評論家になるためには険しい道のりが待っている。リアルタイムでその映画の質を見極め、ジャッジを下す。・・・

ここが面白かった、ここがつまらなかったとジャッジを下す。はっきりと意見表明をする必要がるのに言えていませんでした。明確さが足りないと主張が弱くなって、読む人の心に届かなくなってしまいます。 

  • あらすじ、何が面白いのか、それはなぜか、なぜつまらないのかを書く。これがきちんと書けていませんでした。

モルモット吉田さんは、13歳から25歳ごろまで、映画の感想をノートに書いていたんだそうです。その方式が、双葉十三郎さんが40年に渡って連載していた「ぼくの採点表」を真似たもの。どんな方法かというと、「☆」と「★」で点数を表して、あらずじを書き、何が面白いか、なぜ、つまらないかを書いたものです。

これを明確に書けばよかった・・・。

もうひとつ、参考になることが紹介されていました。「映画芸術」の編集長だった小川徹さんが、原稿を依頼した人に書き方が分からないと言われたときの話が紹介されていました。小川徹さんは、入院している友人を見舞って話すように書くように言ったそうです。これにも、双葉十三郎さん方式の説明がよさそうです。

明確なジャッジを下す、あらすじ、何が面白いのか、それはなぜか、なぜつまらないのか、自分なりにそれを書けば、目指す映画レビューの近づくはずです。

自分にしか書けない差別化されたものにする

ブログに記事を書いてもなかなか読んで貰えません。ありきたりの平凡な内容では興味を持ってもらえないのです。興味を持って貰うには、自分しか書けない差別化されたインパクトのあるものにする必要があります。

では、どうすればそれができるんでしょう。

モルモット吉田さんは 「何を観るか」が重要だと言います。 

大ヒットした映画で評論が次々と発表されている。そんな映画を出遅れてみんなが書いてしまったようなものではダメ。そして、「その意味では、世間の流行り廃りとは関係なく、自分の好きなジャンルや、監督、俳優などを見つけておくべきだろう」と言います。

なるほど。これは、カラオケ大会で歌う曲を選ぶのに似ています。

島田紳助さんがYoutube「お笑いの教科書」で「勝てない人とは戦わない」と言っていました。

これなら負けないという得意分野が必要なのです。

書くためにしっかり準備をする

映画評論家は映画を見たら、スラスラを文章を書き始めるのか。

そうではありません。

Wikipedia、DVDの特典映像、原作、パンフレット。ここまで準備をするものなのか・・・しっかりと調べてから書き初めているのです。

町山智浩さんの「映画評論家の仕事は、まず第一に作者が意図したことは何かを読み解くこと、その次に、作者の意図を超えたところまでを指摘すること」(p39)という言葉が紹介されていました。

 準備が勝てば記事も勝てるかもしれない。そうすれば、自分にしか書けない差別化されたものが書けるに違いないと思ったのでした。

映画評論の目指すもの

第3章~第6章は、 過去に映画評論がどんな役割を果たしたのかが描かれます。

今はネットが中心ですが、新聞、雑誌の時代でも評価が分かれたり、テーマがモラルに反しているなどメディアを超えての論争がありました。それを膨大な新聞、雑誌から集めて再構成しています。ですから、内容の半分近くが過去の評論を引用したものになっています。その情報収集能力、再構成は驚くべきものがあります。

そしてこれが面白い。ネットだって炎上は面白いものです。それがプロの評論家が論争するのですから、面白くないはすがありません。

  • 第3章 映画監督 VS 映画評論家
    市川崑 VS 映画評論家。石原慎太郎原作「処刑の部屋」を「俗悪映画」と書いたことから始まる論争です。
    「壁の中の秘事」国辱映画事件。
    「東京オリンピック」と高峰秀子の<実践的>映画批評。
    北野たけし VS 映画評論家。
  • 第4章 ベストテンとは何か
    ベストテンをめぐる映画評論家の「踏み絵」
    日活ロマンポルノが刑事告発されて無罪になるまでの話。
    日活ロマンポルノや「仁義なき戦い」がベストテンでどう評価されたのかの話です。
  • 第5章 リアルタイム映画批評 REMIX
    Wikipediaによると、REMIXとは「複数のトラックに録音された既存の楽曲の音素材を再構成したり様々な加工を加えることによって、その曲の新たなバージョンを製作すること」だそうです。
    つまり、過去の映画評論を取捨選択して組み合わせて、モルモット吉田さんが新たなバージョンの映画評論を作り出したと言えば良いでしょうか。
    「七人の侍」、「ゴジラ」、「世界残酷物語」、「2001年宇宙の旅」、「仁義なき戦い」、「犬神家の一族」、「太陽を盗んだ男」
  • 第6章 映画と犯罪、映画評論と犯罪、映画評論家と犯罪
    映画の影響を受けて犯罪を犯したと言われる問題についてのモルモット吉田さんの考察です。
    スタンリー・キューブリック「時計じかけのオレンジ」の強烈なヴァイオレンスとセックス描写。黒沢明「天国と地獄」の誘拐犯が現金を受け取る手法。

これら過去の映画評論を組み合わせて描きだされるものは、モルモット吉田 さんの考える映画評論はこうあるべきだという理想の姿なのだと思います。

取り上げられた映画を見たくなった

これらの映画評論を読んで、取り上げられた映画を見たくなりました。

  • 「東京オリンピック」
    東京オリンピック [DVD]

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    昔、学校の体育館で観た記憶があります。NHKのオリンピック総集編が華々しいのと比較して、拍子抜けしたのを記憶しています。
    人間が描かれていても、子どもの私には理解できなかったものと思われます。
  • 「HANA-BI」
    HANA-BI [DVD]

    HANA-BI [DVD]

     

    北野たけし監督の映画は、「その男狂暴につき」と「座頭市」しか観ていません。 第54回ヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を受賞作品ですから観ておきたいもの。

  • 「一条さゆり 濡れた欲情」 
    一条さゆり 濡れた欲情 [DVD]

    一条さゆり 濡れた欲情 [DVD]

     

    ベストテン上位になっていたのに観ないことには始まらない。

  • 「仁義なき戦い」
    仁義なき戦い [DVD]

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    東映のヤクザ映画はほとんど観たことがありません。それでも、職場の友人に誘われて一度か二度観た程度。

    食わず嫌いかもしれませんので。
  • 「2001年宇宙の旅」
    2001年宇宙の旅 [Blu-ray]

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    ストーリーが難解でとんちんかんな批評もあったそうです。
    「プレスシートに書かれたあらすじも、映画を観ないで書いているのかと思えるほど曖昧な記述が多かったせいで、<ワカラナイ>の声も大きい」
    プロの試写会にはプレスシートなるものが配られるのを知りました。 

  • 「太陽を盗んだ男」
    太陽を盗んだ男 [DVD]

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    観てないのですが、今観ても面白いのでしょうか。 

モルモット吉田さんは、入院している友人を見舞って話すように書くという話の中で、最後に「それは面白そうだから退院したら観たいなぁ」と友人に言わせたら上出来だと言ってます。

私が、取り上げられた映画を見たくなったのも、映画評論の話が面白かったからに他なりません。

まとめ

モルモット吉田 「映画評論・入門!」に出会い、映画の感想を書くのに役に立ちそうなことから購入しました。

読んで結果は期待以上。映画の感想は何を書けばいいのか、どうすれば自分にしか書けない差別化されたものにできるのかが理解できました。

知ることと実行することは雲泥の差がありますが、 面白い映画の感想を書くための情報を入手できたと思います。

「あとがき」の最後、「ひとりでも多く新たに映画評論を書き始める人がいることを熱望している」 と締めくくっています。

映画レビューを書きたいと考えてもなかなか読んで貰えません。この本は読んで貰えるための近道を教えてくれるはずです。